日本企業の典型例な企業統治失敗例

内輪主義によるコーポレートガバナンスがうんぬんかんぬん。


吉田調書報道「公正で正確な姿勢欠けた」 報道と人権委:朝日新聞デジタル
ということで第三者機関の報告が出たそうで。

 PRCは取材過程や報道前後の対応も検証。情報源の秘匿を優先するあまり、調書を読み込んだのが記事掲載の直前まで2人の記者にとどまった▽紙面製作過程で記事や見出しに疑問がいくつも出たのに修正されなかった▽上司たちが取材チームを過度に信頼し、役割を的確に果たさなかった――などの問題点を指摘した。

吉田調書報道「公正で正確な姿勢欠けた」 報道と人権委:朝日新聞デジタル

まぁこの辺は以前から言われていたお話ではありますよね。編集と校正が入らないなんて、うちのような駄文を無責任に書き散らすネット上のブログと同レベルですよ。むしろプロとアマの差を分けるのはその一点にあるとさえ言ってもいい。ブログかいっそチラシの裏にでも書いておけば良かったのにね。


記者個人のジャーナリストとして資質がどうこうというよりも、その危うい『暴走』を止められなかった編集部という方がやっぱりとしては大きいよなぁと。個人として間違いや偏向すること自体は、私たちが人間である以上どうしようもないでしょう。そこを責めるのはフェアではない。しかし「だからこそ」何度もチェックを入れるのが最適解であると一般にはされているわけで。故に情報の信頼性を重視する新聞は、特に全盛期のWSJなんかはその「校正の多さ」を自身の誇りとして自慢げに語っていたわけであります。
といっても、それは営利企業である限りコストとの戦いとの戦いは避けられないわけでもありますけど。ニュースの正確性とのトレードオフ。ほとんど全ての新聞が直面する大難問。
――でも朝日新聞は、そのレベルにすら達していなかったっていうね。
以前の日記でも書きましたけども、やはりこの点でこそ、『W吉田』問題の内の従軍慰安婦のそれよりも原発撤退報道の方がより大きな問題であるんじゃないかと思います。前者のそれは結局何処まで行っても「当時の(今はほとんど居ないであろう)」朝日新聞の中の人たちの失態――その大きさについてはみなさんそれぞれ一家言あるとして――でしかないけれども、後者はそうではない。
まさにそれは現在進行形である、企業統治の失敗そのものだから。


日本企業の多くが持つとされている『内輪主義』について。まぁ誠実な文化論というのは「成功」と「失敗」を同時に説明できるものであるわけで。当然かつては上手く行っていたものの、しかしそれは現代においては必ずしもプラスに働くわけではない。その内輪の論理こそが最優先となり、見事に一部の人による『暴走』を止められないまま容認してしまう人たち。いやぁこれこそまさに『戦中』から何も変わっていない構図そのものですよね。
その意味で言うと、朝日新聞の今回の失態はまぁ典型的な日本的風景の一つでもあるのかなぁと思ったりします。


みなさんはいかがお考えでしょうか?