香港統合あるいは欧州統合のラストリゾートとなるはずだったもの

国境統合後に育った新世代たちの支持。ところがそれは見事に裏目に出ようとしつつある。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42205
昨日の日記でも少し触れたお話。そもそも楽観的な欧州連合統合推進者たちにあったのは、統合後に生まれた若い世代たちは生まれた時からあるこの風景を当たり前のモノとして自身の『(一つの)ヨーロッパ人』として見るようになるだろう、という見方であったわけです。そしてこうした若年層の存在こそが、欧州統合の強力な推進剤、最後の決め手となるはずだった。
――現状はご覧の有様なんですけど。
むしろ新世代の指導者=欧州統合にかつてないほど反発を強める過激な政治家たちの登場っていうオチ。

 人生ではよくあるように、本当の脅威は予期した場所――つまり、国債市場――から来ないのかもしれない。現在の主役は国際的な投資家ではなく、新世代の指導者に投票する傾向が高く、地域の独立運動をより積極的に支持する反抗的な有権者だ。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42205

その意味で言えば、このお話でほんとうに皮肉なのは統合推進派たちの切り札であったそれが、むしろ懐疑派たちの切り札なっているっていう現状そのものでしょう。そして見事に前回の金融危機を瀬戸際で回避した源でもある『政治家同士の協力関係』が、正しく民主主義政治の結果として、損なわれつつある。
実際に今のヨーロッパが「危機のピークよりも危うい」かは別として、しかし新たなステージに入りつつあるのはその通りだよねぇと。抜本的な経済回復の見通しが立たない以上、案の定、それに不満を持つ有権者たちによる政治の危機がやって来た。
しかもそれは新たな世代たちからの反発という形によって。


まぁ面白いのは、こうした「予想外」って返還後の香港に育った新世代こそが中国共産党の反発を強めている現状の香港とどこか似た風景になっている点ですよね。『古い風景』を知らない新しい世代こそが、現状を支持してくれるだろうと無邪気に考えていたはずが、現実はまぁ見事に真逆へ突き進みつつあるっていう。
中国共産党が、あるいは欧州連合が揃って犯しつつある、楽観論からの大誤算。


果たして現状のような統合前の風景を知らない『新世代』たちの反発はただの一過性のものなのか、あるいは今後も主流のトレンドとなるのか。
みなさんはいかがお考えでしょうか?