「ハッカーも、それを匿う国も等しく容赦しない」

子ブッシュさん時代にも見た光景。


米政府、北朝鮮に追加制裁−ソニーへのサイバー攻撃に対応 - Bloomberg
ということでソニーさんちの愉快な映画騒動はとうとう経済制裁にまでいってしまったそうで。

制裁対象の個人と機関は、米国の金融機関へのアクセスや商取引が禁じられるが、北朝鮮は既に世界で孤立しているため効果は限られる見込みだ。北朝鮮への対抗措置に関する協議に関わった米政府当局者によると、今回の制裁はサイバー攻撃を行っている他の国々に対し、ソニーへの攻撃は越えてはならない一線を越えたとのメッセージを送ることが目的だと説明した。

米政府、北朝鮮に追加制裁−ソニーへのサイバー攻撃に対応 - Bloomberg

まぁやっぱり構図としてはこの辺なのでしょうね。ザ・見せしめ。


身も蓋もなく言えば、殴りやすい=殴っても大して(最近やったロシア程には)副次的被害の出ないサンドバッグのような対象がカモ葱的にやってきたので「それ以外の誰か」に対するちょうどいい見せしめとして制裁が発動された、という辺りなのでしょう。
――アメリカは、サイバーテロサイバー攻撃もサイバー諜報もハクティビズムも許さない。
特にウィキリークスなんかの政治的動機によるハッキング=ハクティビズムでは、国内的にはともかく、解りやすく腹いせに殴る相手が見つからず国外的にはひたすら後手に回ることの多いアメリカさんちにとってこうして世界に「恐ろしさを知らしめる」相手が解りやすく見つかったというのは、むしろ好機とすら捉えているのではないかと思います。


そもそも論として、サイバー攻撃は完全に防ぐのが難しい、というのはもうずっと言われているわけで。まぁそりゃそうですよね、軍事学の基本にあるように攻撃側はいつでもどこでも対象を選べるけれども、防衛側は究極的には相手がいつどこにやってくるか解らない。(幾ら裕福なアメリカとはいえ)利用できる資源が有限である以上、膨張を続ける広大なネットの海を防衛側は全てを守ることは絶対に不可能と言っていい。
そうした中で防衛側が採りうる有効な戦略の一つは、やっぱり『抑止力』を誇示することであるわけですよ。アメリカの資産に手を出すことならず者は、またそれを匿おうとする国は米国から手厳しい反撃を覚悟しなければならない、と。それは政府機関だけでなく、当然民間企業の知的財産においても同様である。
その意味で、今回のアメリカさんちの対応目的としては、サイバーテロサイバー攻撃というよりも、むしろハクティビズムとサイバー諜報活動への抑止力を誇示した、という辺りかなぁと。


かくしてノコノコやってきた北朝鮮さんは、別の誰かに対する見せしめとばかりに殴られた。他の誰かが具体的に誰なのかと言うとまぁ以下略なんですけど。
まさに北朝鮮が国際関係にとって大して重要でないからこそ経済制裁というカードは切られた。
北朝鮮さんにとっては概ね自業自得でもありますが、存在がどうでもいい故に見せしめとして殴られる彼らを見ると、まぁなんというか笑えると同時に第二次大戦のベルギーの『道』扱いを見ているようで悲しいお話ですよね。