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恋と戦争とネトゲ廃人は手段を選ばず。某ネトゲ廃人シュプレヒコールな世界。



久々にネトゲ日記。
【新生FF14】吉田Pに物申すにて「機工城アレキサンダーハード」の難易度は侵攻編零式以上に。またノーマルとハードの報酬は別でノーマルで装備を整えてハードを攻略していってほしい|馬鳥速報
【情報】3.0のレイド「機工城アレキサンダー」ハードモードは零式より難易度が上?真成零式を実装しない理由はコストが足りないなど吉田P物申す情報 : じゅうよんにゅーす!
これなぁ。ネトゲというかMMORPGというか、まぁよくある落とし穴パターンに嵌ってしまった感じですよね。

吉田に物申してきました
真成編が早期攻略された件について
・世界のトップ層のレベルが高すぎた
・みんなそれを模倣したので予想外
・新式を作ってまで攻略することは僕らは望んだことではない

https://twitter.com/empereur347/status/561708696216948736

しばしばFF14の光の戦士たちの間でも誤解されがちなお話ではありますが、おそらく吉田Pにとって今回のアップデートでの「想定外」の焦点を端的に言えば、それが即攻略されてしまったことそのものではないと思うんですよね。もちろん(最低でも1ヶ月はもたせられると読んでいたにも関わらず)およそ一週間で最難関ダンジョンが攻略されてしまったことも想定外ではあるでしょう。ただそれはやっぱり本気でプレイする人たちの存在証明でもあるし、悲鳴半分であると同時に嬉しさ半分でもあるはずなのです。


むしろ問題は、本来開発側が想定したやり方ではない――邪道と言うと言いすぎですけども少なくとも王道として想定してはいなかったで高額の資金を必要とする生産装備――手法で攻略トップ層が実現してしまった結果、それが後続組の『常識』となってしまった点でしょう。攻略そのものをトレースすることはともかく、装備までそうされるとは思っていなかった。結果としてその新式装備の用意は後続組にとっても必須となり、週制限を経ることで半ば自然と段階的に強化されていくトークン装備ではなく、(即用意できる一方で高額な生産装備)新式用意しなければ挑戦するべきではないという風潮にさえなってしまった。
「新式を使わねば人ニ非ズ」
おそらく多くの固定PTではどこでも概ね状況は同じで、最難関レイドにおいて必ずしも『初期攻略組』とは呼べない人たちでさえもこの状況は波及していった。それがトップ層だけの例外で終わるのならばまだ良かったんですよ。でもこれまでのネトゲの歴史が教えてくれるように、そうはならずに事実上の『常識』とてして定着してしまったことこそが、おそらく吉田Pにとって最大の誤算なのだろうなぁと。



ガチャゲーにおけるトッププレイヤーの果たす役割 - maukitiの日記
先日も『デモンストレーション効果』ネタで少し日記を書きましたけども、結局のところこうした価値基準点=常識はボトムアップに持たざる者が決めるのではなく、持つ者=トップ層がその基準を決めるんですよね。トップダウンに彼らの振る舞いが徐々に(劣化コピーされながら)下層へと波及していく。
これまで無数のネトゲがその罠に嵌ってきた罠。

  • 0.02%でレアアイテムがドロップするのならば、それが出るまで何十時間でも同じモンスターを狩り続けよう。
  • ひたすら同じクエストを繰り返す死ぬほどつまらない作業がそれでも最高効率であるのならば、何十時間でも同じことを繰り返そう。

つまり、本気のプレイヤーたちは、ネトゲ廃人たちは、それがシステム上許され可能な手段があるのならば「まさかここまでやることないだろう(笑)」という開発側の想定を軽々越えて来るのです。恋と戦争とネトゲ廃人は手段を選ばない。それは真のトップ層=廃人層だけなら影響は軽微で済んだものの、しかし否応なく一般プレイヤーたちの『常識』にまで影響与え、やがては開発側の設計思想そのものにも返ってくる。

  • 何十時間も狩りをぶっ続けるプレイヤーがいる以上、更に確率を下げざるを得ない。
  • 何十時間も単純作業に耐えられる頭おかしいプレイヤーがいる以上、更に必要経験値をマゾくするしかない。

かくしてその不毛な連鎖に置いていかれる一般プレイヤーたち。


まさに過去のMMORPGが衰退したのもそういう理由だったわけですよ。ネトゲ廃人=トップ層が創る『常識』は先鋭化し過ぎた結果、一般層を置き去りにした。格ゲーでもSTGでも音ゲーでもクイズゲーでもあった、ゲーム業界のいつもの衰退の典型例と言うとまぁその通りなんですけど。
ちなみに、だからこそ黎明期とは違い現在ある「進歩的」ネトゲの多くは月額課金があるにもかかわらず、まるでソシャゲのスタミナ課金のような人為的天井、システム上のデイリー・ウィークリー制限を導入せざるを得ないのです。


おそらくこうした過程をプレイヤーとしても開発者としても見てきただろう吉田Pならばこんなこと当然解っていて、だからこそ今回の件は単純に「早期攻略された」以上の問題が潜んでいるんですよね。その意味で読みが甘いと言えばその通りだし、一方でこの問題を(解っていながら)誰も解決できなかったからこそ、今のネトゲの現状はご覧の有様になってもいるわけで。
最低限のプレイ時間さえ確保できれば確実に揃えらえるトークン装備よりも、短期的にはずっとハードルの高い新式装備が『常識』となりかねない状況。開発側が意図した基準点が基準点でなくなる構図。数々のゲームが長期的に死亡してきた罠に、少しだけ足を踏み入れたかもしれない、新生FF14。この辺は詳細は割愛しますけど、トークン装備と生産(新式)装備のそれぞれの存在意義を今後どう再定義していくか、という新生FF14における最も重い難題の一つとなっていくでしょうから、吉田P(というかDか)の手腕に乞うご期待ということで一つ。
頭おかしい廃人プレイヤーたちによって創られるネトゲ世界の『常識』について。いやぁおっそろしいお話ですよね。


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