リアル「悪即斬」な人たち

どっちかというと同じ物理属性でも「斬」というより「壊」ですけど。



「イスラム国」、イラクで古代の石像を破壊 動画公開 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
【イスラム国】メソポタミア文明の遺産を次々と破壊 黒服の男がハンマーや電気ドリルで粉々に 「イスラム国」が映像公開(1/2ページ) - 産経ニュース
ISの文化財破壊 専門家が強く非難 NHKニュース
ユネスコ ISによる文化財破壊を強く非難 NHKニュース
うーん、オメガバカ。おわり。




でもそれだけじゃ寂しいので以下適当なお話。
上記事件に対するまとめサイトなんかの反応でも「自分たちだけが偶像を禁止すればいいのに、何故既にある物までぶっ壊す必要があるんだ?」という至極真っ当な批判や、素朴な疑問がありますけども、まぁこれってまさにリベラルな価値観に染まった私たちの勘違いからくる反発だよなぁと。

26日までに公開された映像では、黒服などを着た多数の男たちがモスルの博物館に収蔵された文化的価値の高い多数の像を、イスラム教が崇拝を禁じる偶像だとして、床にたたきつけ、ハンマーや電気ドリルで粉々に破壊した。英BBC放送は、映像が事実であることを確認したと伝えた。

 男の1人は「(偶像は)アラー(神)が破壊を命じている。何十億ドルの価値があろうと知ったことではない」と述べ、破壊を正当化した。

【イスラム国】メソポタミア文明の遺産を次々と破壊 黒服の男がハンマーや電気ドリルで粉々に 「イスラム国」が映像公開(1/2ページ) - 産経ニュース

つまり、彼らの行為の根源にあるのはまさに『偶像崇拝』はいけない事である故に「他者も」そうした悪に染まらぬように良かれと思って破壊してくれているのがホントもう理解できない異星人だよねぇと。イスラムにおける所謂『ヒスバ』という教義について。
【イスラム国】宗教警察「ヒスバ」の活動を紹介 : ジハード戦士の動画・声明の記録
もちろん『イスラム国』のように過激派で原理主義な人たちのそれは行き過ぎではあるでしょう。しかし「善き」イスラムであろうとするならば多かれ少なかれこうした悪滅は当然の行為でもあるわけですよ。イスラム教徒にとってそれは義務とすら言っていい。もちろん今回のこれは論外ではありますが、現代イスラム世界でも尚も続く、義務・道徳・良識の一つですらある。
実際こうした振る舞いについて、私たちにとってもそれを完全にただ否定だけするのは難しいですよね。(幾ら自分に関係ないからと言って)他者の悪を見逃すべきではない、というのはそれなりに説得力を持っているはずです。逆にJSミル先生の自由主義を原理的に解釈し、社会に迷惑を掛けないのであればどんな悪をも見逃すべきである、とあまりにも原理主義なことを言う人の方が少数派ですらあるでしょう。


結局問題は、彼らはほんとうに善意から自分「だけ」が善=コーランを守ればいいと考えているわけではない、という点にあるわけで。彼らは、お節介にも人に守らせなければならない、と確信している。まぁやっぱりそれは確かにある種の善意から発する行為ではあるんですが、しかし私たちの知る自由主義とは根本的に違っているんですよね。
――その意味で、イスラム愚行権はないのです。
故に堕落した偶像崇拝になりかねないそれは破壊対象となる。自分たちだけでなく他者にもそれを守らせようとするために。


かくして彼らは「堕落しないように」とわざわざ歴史的遺物までをも破壊してくれる。いやぁ究極のお節介という感じでひたすらめんどくさいお話ですよね。
基本的にはリベラルな自由主義を信じる私たちとの価値観と、ある種の典型的なポジションの隔絶っぷりを改めて教えてくれる事件ではあったかなぁと思います。今後私たちが多文化社会を考える上で、避けては通れない大きな難問の一つじゃないかと。


みなさんはいかがお考えでしょうか?