人びとから『公共心』を失わせる最もさえたやりかた

くまのぬいぐるみでも会長にした方がマシだね。



PTAに関する読者の疑問、組織トップの回答は?:朝日新聞デジタル
クズ&クズ。だから強制された公共心は筋悪すぎるとあれほど。

――「やらされている」と感じる要因には、共働きの増加など家庭環境や時代の変化があるのでは。

 「共働きだから忙しい」「他にやるべきことがある」という理屈はよく分かりません。私だって仕事をしながら週4日ほどPTAに関わり、妻も働いています。おそらく一番忙しいと思いますが、「地域のため」「子どものため」と思うからやっている。自分の経済活動や自分の子どもだけのためのことばかりしたがるのは残念です。

PTAに関する読者の疑問、組織トップの回答は?:朝日新聞デジタル

なんというか最初から最後まで徹頭徹尾「わざとやってるのかな?」という位ダメなテンプレ的受け答えでものすごく愉快なお話だよねぇと。きっと根本的に育ってきた環境が(大多数の一般の人たちとは)違うのでしょうね。
そう、彼が悪いんじゃない。こんな彼=モンスターを生み出してしまった社会が悪いのだ。
ここでPTA総本山の頂点に位置する会長様の発言は、ただ単にバカなことを言っている、というだけでは済まされない所にこのインタビューの害悪さがある。おそらくドヤ顔で「足りぬ足りぬは工夫が足らぬ」とか言っている当人はまったく自覚ないんでしょうけど。


ここでとりあえず「公共心」の是非はともかくとして、しかしそれ以前のお話としてこの会長の振る舞いがひたすら逆効果なのは、最近も日記で書いた「強制された奉仕」の失敗を考えれば明らかでしょう。
モラルというよりはモラールの問題 - maukitiの日記
実際、今回もおそらく多くの人がこの記事を読んで「これはひどい」と思ったように、むしろこのような組織トップの態度こそが、PTAから求心力を失わせていることに、おそらくこの彼は心底気づいていない。こうして彼がバカなことを言えば言うほど、やや批判寄りながら中立的だった人びとさえ離反させている。
古今東西の意識高い人たちが犯してきた普遍的なミス。全体主義の失敗の典型例。
つまり、利己心を無くし「みんなに奉仕しよう」と自発性を装いながらその実強制でしかない、というのは人びとの公共心を失わせるという意味でもっともさえたやり方なんですよ。まず間違いなく、元々内心反発を憶えていた人たちは事実上の強制的行為でありながら「奉仕」と詐称される押しつけによって、更に公共心を失い、ならばよりいっそう利己的であろうと決意する。
全体主義を採った多くの事例で、国家の為と言いながら、現実にはその内部にある構成員たちを冷笑的・利己的な社会へと変えていった最大の理由はここにあるわけですよ。強制された奉仕は、内心そのものを変えるのではなく、ただ表面上の態度の繕いを生むだけ。
態度と内心の乖離は、人々を社会に対し致命的と言えるレベルで冷笑主義に陥らせ、わずかでもあった公共心にトドメを刺す。
かつてソ連ベトナムキューバで起きたのがそういう変化であったし、最近の日本の事例で言えばすき家などのブラック企業がそうであるし、逆に現代中国は毛沢東さん時代にあったそうした空気を改革開放=自分の利益の為に働けと変化させたことで大成功を収めたわけで。


彼が口を開けば開くほどPTAの求心力は失われている。おそらく、真っ当なPTA全国協議会の中の人は「いいからアイツを黙らせろぉ!」とか叫んでいるんじゃないかな。ザ・無能な働き者。その意味で言えば、彼をトップに据えてしまった組織そのものの問題ともいえる。


こんなことなら全国協議会会長の椅子に、くまのぬいぐるみでも置いておいた方がマシじゃないかな。