強権をふるう以外この先生きのこる道はない

市民社会を亡くした中国のゆくすえ



独占インタビュー ノーベル賞経済学者 クルーグマン「気をつけなさい、中国が世界経済を崩壊させる」 そのとき、日本は…  | 経済の死角 | 現代ビジネス [講談社]
よく解らない後半の株投資部分はともかくとして、本題としては概ね同意できるクルーグマン先生の直截な中国バブルを心配するお話。

今、こうして話しているあいだにも、バブルが崩壊しつつあります。中国経済のバブルのことです。

今の中国は'80年代後半の日本のバブル経済と似たような状況。とりわけ過剰な投資が問題を肥大化させています。

さらに悪いことに、中国という国には日本のように社会的な「結束力」がない。日本のバブル崩壊と比べものにならないくらい深刻な事態が起こる可能性が高いのです。

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まぁこれはその通りだよねぇと。日本は日本で負担を分け合った結果、被害が大きくなった面もあったと言われてたりもするらしいですけど。で、その反動で中小切り捨てまくりな時代とか。しかし中国の結束力のなさはただ経済というだけでなく、社会的・政治的にも深刻な事態が起こる可能性が高い。


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以前の日記でも少し書きましたけど、中国社会における家族以上国家未満の領域に広がる市民間の「信頼」「結束力」も未だ乏しいままであるわけで。毛沢東さん時代の全体主義の失敗によって致命的に破壊され陥った中国の社会分散。その後の改革開放によって――資本主義社会では経済それ自体が社会生活の本質的要素となる――徐々に復活しつつあるもののまったく十分とは言えない。ただの利害関係のみで結ばれた関係性は、一旦それが失われると容易に社会の基礎にある暗黙の協力関係から失われることになる。
空白を埋めるには、やっぱり国家が強権を振るうしかないわけですよ。危機に際して特に。でなければソ連の時のようになってしまう。中国政府が(民主主義社会の萌芽となる)市民社会の組織化=政党なんかを望まない以上、最近さらに顕著になりつつある社会秩序維持を大義名分にした中国政府による『自由の制限』を進めるのは、確かに残された選択肢の内かなりマシではあるのでしょう。
中国が市民の自由を制限しないわけがない。
ところがぎっちょん、中国政府さんの最大の懸念材料もそこにある。そもそも彼らには政治的正当性を担保するものが、ほぼない。
ここに彼らの致命的なジレンマがあるわけで。彼らは経済が不安定になればなるほど、社会秩序安定の為にどうしても強権を振るう必要があり、しかしそれをやるだけの政治的正当性は経済が不安定になればなるほど失われる。まぁなんというか、端から見ている分には愉快なジレンマではありますよね。



もし中国社会にバブルのような激震が走るとき、そのジレンマは最高潮を迎えることになるのでしょう。21世紀中国の試金石。
がんばれ中国。