オバマさんが「チェンジ!」してしまうかもしれない戦後歴代米国大統領に受け継がれてきたもの

戦後歴代米国大統領たちが持つ数少ない共通性の行く末。


UPDATE 1-米下院、TPA関連法案の再投票延期を可決 7月30日まで| マネーニュース| 外国為替| Reuters
ということでTPPへの最後のハードルであるアメリカ下院議会を乗り越えられず、分離し延期になったそうで。身内であるはずの自党議員の票をまとめられないとかオバマさんの指導力の低下が著しいお話だよねぇと。
TPP関連法案でオバマ大統領と共和党が結託し、民主党が反発するねじれ構造 その舞台裏 | ハフポスト
http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/us150609.pdf
ただ、むしろ今回より顕著に見られたのは、米国大統領云々というよりは、米国民主党の変化という方が確かに適切なのかもしれない。

採決期限の延長によって法案への支持拡大に向け時間稼ぎが可能となる一方、オバマ大統領のTPP交渉妥結に向けたタイムフレームはそれだけ圧迫されることになる。

TAA法案は12日行われた最初の採決で民主党議員の反対により否決された。TPA法案はその直後に採決が行われ、賛成が反対をわずかに上回ったが、TAA法案の否決で下院を通過しなかった。

こうした状況から、TPP交渉の早期妥結を目指す大統領と共和党指導部は、新たな選択肢の模索を余儀なくされている。

UPDATE 1-米下院、TPA関連法案の再投票延期を可決 7月30日まで| マネーニュース| 外国為替| Reuters

議会対大統領。
まぁ民主党出身大統領なのにね、という愉快な構図はあるにしても、やっぱりこの両者の対立が特別にオバマさん時代だけに見られるユニーク光景かというとそうではないわけですよね。子ブッシュさんもそうだったし、クリントンさんもそうだった。ぶっちゃけ時代や政党を問わず続いてきた米国政治の常態でしかない、とも言える。
自由貿易支持な大統領と、地元産業を守ろうとする議会議員。
それこそ前者の米国大統領のポジションは米国政治史においてすら、戦後の歴代米国大統領に「ほぼ唯一」共通する一貫したレトリックとすら言われているわけで。まぁ国際世界の対外的には(建前であっても)自由貿易擁護者をほぼ一貫して名乗ってきた以上、そうなるのも理解できなくはないですよね。
――ただ一方で、私たち自身の国内でも見ているように、反対勢力はアメリカにだってやっぱりいるわけですよ。
ここで必要になるのが、大統領の指導力という名のアメであり政策的代償であるのでした。上記のような公的な主張をする一方で、歴代大統領たちは常に裏で取引をし『特別措置』を設ける約束をしてきた。もちろん約束が守られるならそれはそれで(是非はともかくとして)いいんですよ。ところが弱い大統領だとそれすら期待できないわけで。レームダックってかなしいよね。


アメリカにおける歴大大統領たちに時代や政党を越えた、ほぼ唯一共通したレトリックである自由貿易推進。
ここでオバマさんが民主党説得に失敗し諦め、保護主義的な流れへ「チェンジ!」してしまうと、それこそアメリカの歴史を変えちゃいそうだよねぇと。まぁさすがにそこまでは本人も積極的に望んではいないでしょうけど。しかし、ここで民主党内の空気をこのまま固定化させてしまったら、世界の警察からの卒業と並ぶかそれ以上の、それこそ歴史に残るオバマさんの遺産としての「チェンジ!」になってしまうのではないかなぁと。


がんばれオバマさん。