「チェンジ!」に値するオバマショック

新中東秩序がこれからどう転ぶか乞うご期待。


歴史的なイラン核合意、米議会では否定的な声 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
ということでイラン核協議が最終合意だそうで。例の「核なき世界」にも叶うし正直オバマさんの外交レガシーとしては、中長期的には、最大のものになるんじゃないかな。
核協議合意で接近する米・イラン関係 | 酒井啓子 | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
中東の核拡散を助長しかねないイラン核協議最終合意 米国の歴史的誤算か?〜一神教世界の研究(その11) | JBpress(日本ビジネスプレス)
まぁなんというか、ニクソンショックみたいですよね。
実際サウジアラビアなんかはかなり危機感を抱いているのだろうなぁと。上記評論で宮家先生なんかが仰っているように、今回の合意はイランにとってはある種の「体制保障」でもあるわけですよ。善悪の問題はともかくとして、あまりにも強大すぎるからこそ、これまで中東地域やりたい放題だったアメリカがイランに少なくとも当面は手を出さないということの約束でもあるわけだから。
まるでどこかの島国のように、これまでその立場を特権的に利用して、周辺の脅威から安全を保障されてきたのがサウジアラビアでもあったわけですよね。1945年のルーズベルトヤルタ会談、の帰り道に寄ったサウジアラビアでの会談が戦後の中東秩序を決定的に決めた転換点だった。
ところが私たちにも身に覚えがあるように徐々にアメリカの神通力は通用しなくなってきつつあるし、そして更に追い打ちをかけるように、こうして仇敵イランと体制保障の合意までされてしまった。



【イラン核合意】イラン大統領がカタール首長と会談 「近隣諸国と全面的に関係拡大を」 - 産経ニュース
サウジアラビアが根源的に抱える火種といえば、東岸域にあるシーア派住民たちの不満でもあるわけで。ついでに産油地域なので物理的にもよく燃えるんですけど。
歴史が教えてくれるのは、ニクソンショックの帰結と言えば中ソ対立→米中関係改善(ニクソンショック)→中越関係悪化→ソ越接近→中越戦争(懲罰戦争)というまるでピタゴラスイッチのような国際関係の展開へと繋がるわけですよね。おそらく、このままいくと「裏切られた」と感じるサウジはじめスンニ派諸国は直接的にアメリカと対立することはないにしても、ロシアや中国などと「も」関係を深めていくことでしょう。
既存の中東秩序は、イラク戦争→(シリア崩壊)『イスラム国』台頭→アメリカ撤退→米イラン接近→と展開していくことでまぁ見事に融解しつつある。


オバマさんが見事に「チェンジ!」しつつある現在。どっかの無法集団がサイクス・ピコがどうこう言ってましたけど、ぶっちゃけこちらの方が決定的な中東秩序の変化をもたらしたよねぇと。
21世紀の中東秩序は一体どのようなものになるのか。


みなさんはいかがお考えでしょうか?