戦争の前にある対話、平和の後にある軋轢

さすがに前者の方がマシだとまでは言えないけれど。


南北高位級会談 「準戦時状態」解除などで合意 NHKニュース
南北、緊張緩和で合意 「準戦時状態」解除へ 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
ということで多分にプロレスだと思われていながらも、北にしろ南にしろもしかしたらコイツらうっかり本気出しちゃうんじゃないか、と心配されていた緊張状態もどうにか最大の危機を回避できたそうで。おめでとうおめでとう。
まぁ地雷で相手兵士を爆殺→大音量スピーカーで広告宣伝→停止しなければ無慈悲な攻撃、とどう考えても不毛すぎる対立のエスカレートだったのでこれで本当に戦争なんかしたらサッカー戦争並のネタになってしまいそうだったのでお互い自制できてほんと良かったですね。北朝鮮さんちお得意のどう見ても口先だけの自国兵士の殺害を「再発防止」と「遺憾の意」だけで許してあげる韓国さんは平和を愛していてほんとうに公正明大だよねぇと。本邦にも是非そうしてくれると以下略。


ともあれ、こうして明らかに彼らが真っ当に緊張緩和に合意したのは、そりゃもう身も蓋もなくそうする必要があったから、でしかないわけですよね。これ以上エスカレートして死人が増えても当事国周辺国含めて誰も得しない。まぁものすごく当たり前のお話ではあります。
――彼らはまさに問題を解決する必要性がある故に、彼らは和解した。感情問題以前に、関係悪化することを放置することが当事者である彼らだけではなく米中を中心とした周辺国にとっても、許されないから。
必要だからそうしただけ。そこに感情的な問題の入る余地はない。ある種人類社会に普遍的な光景ではありますよね。こじれてしまった感情問題を解決する典型的手法の一つは、他に優先すべき事項があるからと「仕方なく」妥協することだから。まさにそうした構造によってこそ、冷戦時代にあった宗教対立や民族紛争が抑制されていた、とは国際政治なんかでは当たり前に言われているわけで。見事に逆証明したのが、冷戦終結の結果として、西側にとって『価値』のなくなったユーゴスラビアだったりした。まさに多くの宗教や民族対立が証明するように、歴史的経緯から来る恨みや痛みは、たかだか数世代経た位じゃ消えたりしないのだから。


【8月25日 AFP】韓国と北朝鮮は25日未明、南北軍事境界線上の板門店(Panmunjom)で行っていた高官会談で、緊張緩和で合意に達し、軍事衝突は回避された。

 共同合意文で北朝鮮は地雷で韓国軍兵士2人が負傷した事件に「遺憾を表明」し、韓国は北朝鮮に向けて行ってきた拡声器による宣伝放送の中止に同意したと述べた。

南北、緊張緩和で合意 「準戦時状態」解除へ 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

これまでの北朝鮮との経緯を考えれば、これ以上ないほど口だけの「遺憾の意」で終わらせることが出来たのは、韓国にとってそうする以外になかったというお話でもあるのでしょう。北朝鮮との関係は、日本なんかと違って、ただ自身の感情だけで突っぱねることができないほど重要な問題である故に。
こうしたお話から見えるのは、しばらく前から言われるようになった日韓関係についての現状について単純に扱いの差というのではなく、(そこまで)日韓の関係が重要ではなくなったからこその今の疎遠っぷりに繋がっている、というのが相対的に証明された事件ではあったかなぁと。北朝鮮には妥協する理由があるものの、しかし日本に対しては絶対にそうではない。


玉虫色の決着が望まれる関係。そして他に優先すべき問題がない故に生半可な決着では許されない関係。まぁやっぱりこの世の常ではありますよね。
みなさんはいかがお考えでしょうか?