更に闘う者達

疑っているのではなく『資本主義』の持つ力を信じているからこそ。


[FT]白旗掲げた中国当局 2000億ドル介入の末  :日本経済新聞
ということで中国発な暴落がすごいことになっているそうで。本邦でもアベノミクス関連が現政権支持の正当性を担保する重要な一つとなっているので、大きな話題となりそうではあるので単純に経済という意味だけでなく、政治的にも大きな騒動となりそうかなぁと。まぁ「アベノミクスの恩恵は庶民に届いていない!」と言ってきた人たちほど今回の株価暴落を政権批判に結び付けそうだし、逆もまた然りなので、やっぱり気の抜ける政争という面はあるかもしれませんけど。影響あったのか影響なかったのかどっちやねん。
中国について心配することが妥当な理由 問題は中国株の下落そのものではなく、それが示唆すること | JBpress(日本ビジネスプレス)
――ただまぁ、そうした本邦と方向性は同じながらまったく違う次元で、政治的正当性を確保し続けるために必死なのがやっぱり中国共産党の中の人たちでもあるんですよね。

中国当局の行動が意味すること

 第1の点は、中国政府当局がバブル崩壊を阻止する取り組み(意外なことではないが、成功していない)にかなりの量の資源と、さらには政治の威信まで賭ける決断を下したこと。第2の点は、当局は経済が心配だったからこそそこまでやったに違いないということだ。

 成功する望みのない行動に出るほど当局が心配しているのであれば、我々も心配すべきだろう。

中国について心配することが妥当な理由 問題は中国株の下落そのものではなく、それが示唆すること | JBpress(日本ビジネスプレス)

中国さんちのユニークな資本主義運用はずっと言われているお話ではありますが、ただまぁ彼らってそれこそ「正しく」資本主義の効用を学んだ結果そうしている、という見方にはかなり同意できるところではあるんですよね。それは単純に市場対国家という管制高地のような点だけではなく、むしろ経済的自由が生む政治的自由という意味でも。
あのミルトン・フリードマン先生の代表作である『資本主義と自由』の中に、次のような言葉があります。

「経済面の自由をただちに実現するような経済体制、すなわち競争資本主義は、政治面の自由をも促す。なぜなら経済の力を政治権力から切り離し、それでもって政治権力を抑制できるからだ」*1

今では悪名高き新自由主義者の祖として有名な彼ではありますが、しかしこの言葉には少なくない人が同意すると思うんですよね。そして、おそらく、中国共産党の中の人たちも同意するのではないかと。彼らは自由な資本主義が持つ影響力を疑っているのではなく、むしろ強く確信しているからこそそれを制限しコントロールしようとする。そりゃ威信を掛けるほどに心配しないはずありませんよね。だってここで中国が対応に失敗するということは、彼らが経済的自由を制限するという正当性の失墜であり、その次の『代案』の浮上でもあるのだから。
まぁ下手に人民元を国際通貨にしようと目論んだからからこそ、今のような状況に陥っている面は多分にあるので自業自得ではあるんですけど。


かくして彼らはただ経済問題というだけでなく、まさに自らの政治的正当性の為にこそ、例え勝算が薄くてもこれまで以上に荒れ狂う市場と戦い続けなければならない。更に闘う者達。彼らの覚悟って私たちが想像する以上のモノがあるんだろうなぁと思っています。
がんばれ中国共産党の中の人たち。

*1:P40