再び中国はバンコールの夢を見るか?

軍事云々では筋悪すぎるものの、こっちで切り崩しを狙われたら私たち日本も悩み転んでしまいそう。


一貫性のない中国の政策に振り回される世界 為替政策を見れば分かる、中国当局者の困惑ぶり | JBpress(日本ビジネスプレス)
そういえば昨日の日記書いてて少し思ったんですが、中国さんちの人民元国際準備通貨化という見果てぬ夢は今回の混乱でどう見ても後退しそうなんですが、この後はやっぱり2009年当時に中国自身の言葉でも――ドル支配の現状打破という意味を込めてのポジショントーク気味ながら――言われていた「バンコール構想」に戻ったりするのかなぁと。
バンコール - Wikipedia
1944年のブレトンウッズ会議の本題でもあった、共通の国際通貨の採用による国際経済制度の安定化。しかし当時「既に」アメリカドルが強すぎていたのでなし崩しに消えていったもの。
まぁ実際ずっとケインズ評伝で有名なスキデルスキー先生なんかを筆頭に一部学者からは言われていた声であるし、特に2008年のリーマンショック以降は危機に直面した今こそブレトンウッズの理想像へと進むチャンスだ、なんて結構大きく言われてもいたわけですよ。それはまぁ多分に理想論ではあるものの、しかし多くの問題を抱える現状の国際経済に対する、尚も魅力的な一つの回答でもある。


ところがリーマン以後、かつてのドルが辿った道と同じく中国自身の人民元が相対的に強大になっていった故に、まぁ彼らはその言葉を無かったことにして人民元をグローバルな準備通貨化にと邁進していった。
そして現在その夢は破れつつある。となると次に彼らが夢見るのは何か?


韓国大統領 中国の軍事パレード出席へ NHKニュース
最近韓国さんが参加表明したことで話題の中国さんちの軍事パレードから見えるような、東アジアにおける軍事防衛圏の争いが新たなステージに突入しつつあるのと同じように、今回の中国さんちの経済危機も国際金融システムの争いに新たな影響を与えるんじゃないかと。今回のパレード参加で韓国は岐路に立たされ、ほとんど覚悟を決めつつあるように見える。
幸いなことに、私たち日本は「まだ」そこまで直接的な岐路には立たされてはいないと言ってでしょう。
――しかし、もし、国際経済への現状打破としてまた中国がバンコール構想をより本気で言い出したら?
ぶっちゃけそれって、人民元の準備通貨化よりもずっと魅力的な提案だよねぇと。もちろんアメリカは昔と同様に反対するでしょう。しかし私たち日本やヨーロッパはそれこそ軍事パレードなんかに参加するより、ずっと賛成しやすい「現状打破の提案」となるんじゃないかとも思うんですよね。


現状のアメリカ一強状態は、少なくともブレトンウッズから現在に至る国際金融システムが続く限りギリギリながらも維持されていくでしょう。ではそれが無くなったら?
もし(本気かどうかはともかくとして)ドル支配への対抗として中国が新たなバンコール構想を再び提案した時、私たち日本は一体どうするのか。皮肉にも中国の人民元準備通貨化の夢が半ば断たれつつあることで、そうした未来が少し近づいたんじゃないかと。
だってそれは、人民元を打ち立ててドルに挑戦しようとする対抗策よりも、ずっと魅力的だから。



みなさんはいかがお考えでしょうか?