グリーンベルト成功の影

光あるところ必ず影も生まれる云々なお話。


給与が家賃に消えていく……英国の厳しい住宅事情 - BBCニュース
ということでロンドンさんちのベラボーな家賃のお話だそうで。これもうここ20年来ずっと問題になっているんですよねぇ。多分10年で倍々ゲーム位になってるんじゃないかな。イギリスの移民反発ってこうした要因があることもやっぱり一要因だったりするんですよね。ただでさえ都市部では人大杉家賃高杉で若者たちがまず自立できない、という問題があったりすると。

英国では、住宅賃貸料の高騰が庶民生活の大きな重しになっている。ロンドンの平均家賃は1599ポンド(約30万円)にもなり、給与の大部分が家賃に消えていくと嘆く若い世代もいる。家賃が払えず親元に戻った、いわゆる「ブーメラン世代」の男性など、3人に取材した。

給与が家賃に消えていく……英国の厳しい住宅事情 - BBCニュース

ともあれ、もちろん原因の全てではないし、先進国主要都市に広く共通してはいるものの、特にロンドンで突出してこうした影響が顕著なのはやっぱりグリーンベルト(=都市郊外に広がる緑地帯)施策が大きいのだろうなぁ。
これって愉快なジレンマではあるんですよね。もちろんグリーンベルトが魅力的であることは否定できないわけですよ。日本のように無秩序に広がる過度の都市集中を素晴らしき緑地で抑えることができる。
――ところがそうやって「住みやすい」環境構築に成功すればするほど、むしろ需要は大きくなり、この地代は高くなる。
だからグリーンベルトって二重の意味で需要と供給のバランスを崩すことで不動産を高騰させる。土地の開発を制限することで供給面を抑制し、また住環境の快適さが需要を増大させる。開発制限に成功した帰結として、彼らはその不動産の高騰に苦しむことになる。


(幸か不幸か本邦では失敗した)グリーンベルトを信奉する人は日本にも少なくありませんが、しかしやっぱりそれには負の側面があることは忘れてはいけないよねぇと。
ついでに言えば、じゃあ何でここまでロンドンの住宅費用が悪化していながら放置されているのかって、それはほとんどそのままグリーンベルトが完璧な『既得権益』にもなっている点があるわけで。つまり、その土地を貸し出す人、あるいはそれだけの家賃を払える人たちにとってはロンドンの地代が高騰したままであった方が都合がいい。
かくして単純に環境保全というだけでなく、そうした既得権益の面からも、ロンドンの状況は長年言われながらも温存され続けているのでした。


がんばれロンドンで暮らす人たち。