いつのまにか見慣れたトートロジーを突破しつつあるアメリカの対中政策論争

『「なぜ中国をそれほど危険視するのですか?」「なぜなら中国は危険だからだ」』
『「なぜ中国にそれほど楽観的なのですか?」「なぜなら中国は危険ではないからだ」』


米国防長官:露中を「国際秩序の挑戦者」と批判 - 毎日新聞
中国「国際秩序は米国によって勝手に定義されるものではない...|レコードチャイナ
南シナ海駆逐艦派遣でもそうでしたけど、高官がこんな事ぶっちゃけちゃうなんてやっぱり大分風向きが変わってきた感はあるなぁと。これまでは私たち日本を間に挟んだ形だったのにね。「日本は現状打破勢力である」「日本は現状維持勢力である」
ただ一方で対中政策がアメリカでの国民的議論になっているかというと、やっぱりそんなことは絶対にないわけですよ。むしろ徐々に大統領選も控えて、より一層地味な扱いにしかなってない。
アメリカを怒らせ、自滅への道を歩み始めた中国 南シナ海問題は満州国建国と同じ構図 | JBpress(日本ビジネスプレス)
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ということで「怒らせた」あるいは「中国が一線を越えた」というのはちょっと違うかなぁと思うんですよね。むしろ起きたのは『見方』の変更ではないかなぁと。ゲシュタルトスイッチが切り替わった。現代中国について、これまでとまったく同じものを見ているはずなのに、しかしアメリカ政府にとってそれが意味する印象は全く切り替わるようになった。
変わったのは中国ではなく、アメリカが受ける印象である。
まさに『9・11』でも対テロ・対大量破壊兵器という点でそれが起きたわけですけども、是非や詳細なタイミングはともかくとして、アメリカの政策立案の中の人たちにそんなパラダイムシフトが起きたのはなんだったのかなぁと。歴代を見てもよくあるアメリカさんちの味方を見る目が無かった論にまた1ページが加わるのか。

 しかし、ここからが、最も重要な話である。ピルズベリーは「中国にだまされていたことに気づいた」というのだ。きっかけは、クリントン政権時代の90年代後半までさかのぼる。ピルズベリーは、国防総省とCIAから、中国の「米国を欺く能力を調べるよう」依頼された。彼は、諜報機関の資料を含むあらゆる情報にアクセスし、研究を行った結果、驚くべきシナリオが見えてきた。

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これまでも、現代中国について、「責任あるステークホルダー」から「米中激突」まで楽観論悲観論あったわけですけども、果たして何がアメリカの見方を変えさせたのか。皮肉にもこれまでそんな楽観論の大前提にあった経済相互依存関係がある、にもかかわらず、という形で事態が進みつつある現状。まぁやっぱり経済関係よりも安全保障は優先するという――最近クリミアでもロシアが再証明した――地政学な歴史の繰り返しでもありますけど。


みなさんはいかがお考えでしょうか?