欧州連合内の問題を誰が解決=妥協させるのか

となると現状答えは一つしかないんですよねぇ。


ドイツと欧州:かけがえのないヨーロッパ人 最大の試練に直面するメルケル首相、EUの瓦解を食い止められるか | JBpress(日本ビジネスプレス)
色々と昨今では逆風吹きまくりなメルケルさん評価な評論であります。でもまぁ個人的にも、どちらにしても彼女に頼る以外はないと思うんですよねぇ。だって誰も彼女以外に今のヨーロッパを纏めることなんてできないじゃないですか。

 そして移民・難民問題では、欧州の価値を堂々と掲げ、ほぼ一人で難民を歓迎する決意を示した。

 これを、用心深さと支配的地位から無分別と惨事への進展と見なすことが流行りになっている。メルケル氏を批判する人たちは、亡命希望者を歓迎するメルケル氏の態度が原因で、同氏が、欧州を破綻させるだけでなく、そのずっと前にメルケル氏自身の政治的終焉をもたらす洪水を引き起こしていると主張する。

 どちらの主張も誤りであるばかりか、著しく不公正だ。メルケル氏は、多くの人が思っているよりも強靭だ。そして、これは実に好都合だ。欧州連合EU)が抱える多くの課題を考えると、メルケル氏はこれまで以上になくてはならないヨーロッパ人だからだ。

ドイツと欧州:かけがえのないヨーロッパ人 最大の試練に直面するメルケル首相、EUの瓦解を食い止められるか | JBpress(日本ビジネスプレス)

今のヨーロッパの難民問題って文字通り「国際問題」であって絶対に一国の取り組みだけでどうにかなる問題じゃないわけですよ。問題が共通である以上、必ず解決にも共同歩調が必要となる。ところが、そんな共同歩調のハードルを下げる目的であったEUというのは、彼らが幾ら素晴らしき超国家的機関だと自称していても、少なくとも現状ではまだ、従来の国際関係にちょっと色がついただけの古典的世界が尚も広がっているに過ぎないのです。
――つまり、結局は加盟各国の国益の駆け引きを通じて、妥協可能な合意を探るしかない。
まさに今の難民問題で各国の利害調整に苦労しているように、むしろ今だからこそ、EU内におけるリーダーシップの重要性は増しているんですよね。だってそうしなければ問題を解決できないから。むしろメルケルさんが今立つ事実上の欧州指導者というポジションの必要性は強化されている。
英首相、EUに「4つの要求」 国民投票にらみ改革案  :日本経済新聞
キャメロン英首相がEU改革案を発表 離脱問う国民投票控え - BBCニュース
まぁ一方でここぞとばかりにイギリスさんちは各国裁量権を重視する「柔軟なEU」改革をここぞとばかりに出しているのが相変わらずイヤらしい人たちだなぁと愉快な気持ちにはなります。


ともあれ、でもこのキャメロンさんの提案も「EUの存続」という意味ではメルケルさんの(結果的に失敗だった)最初の難民受け入れ宣言と同じ根からきたのかなぁとは少し思います。どちらも本当にEUプロジェクトの存続を願っているだけ。それが「どのような形で」という点では致命的に異なっているんですが。
無定見というよりは利益相反のジレンマ - maukitiの日記
以前の日記でも少し書きましたけど、実際あの時点ではメルケルさんはまさにそれ=人道的難民受け入れ容認を言わなければEUの存在意義そのものが覆されかねない事態であったし、逆にイギリスさんちと言えばこのまま合意できずになし崩しにEUプロジェクトを崩壊させるくらいなら多少後退した方がマシだと考えている。


どちらにしても、難民問題に端を発した今ヨーロッパにある致命的なピンチというのは、ここでEUの存在自体が「人びとの生活の利益になっている」と感じさせることができていないという点にあるわけですよ。受け入れ態勢の不備は、ヨーロッパ市民に安心を与えるどころか、むしろ不安を与える結果になっている。
この市民の不安を除去することができないと、存在意義そのものを失いかねず、故に今のEUそのものを揺るがす問題となっているのでした。


メルケルさんに再び頼るのか、それともイギリスさんちの「柔軟なEU」改革か、あるいは何か別の解決策を探すのか。
まぁ個人的にはやっぱりメルケルさんに頼る以外はないと思いますけども、彼らがどのような回答を出すのか乞うご期待であります。


みなさんはいかがお考えでしょうか?