「パリが燃えている? それが何だというのだ」

燃えるパリ、冷めるアメリカ(ついでに日本)



米共和党「シリア難民拒否」の根底にある孤立主義 | 冷泉彰彦 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
あーこれは言われてみれば確かにと膝を打つお話だなぁと。

 1番目としては、共和党外交政策としての「孤立主義」があります。第一次大戦においても、また第二次大戦の際にも、共和党は当初は強硬に「参戦反対」、「局外中立」を叫びましたが、そうした姿勢の背景には「ヨーロッパの混乱に巻き込まれたくない」という強い心情がありました。

 今回のパリ同時テロに対する、アメリカの保守の深層心理にはこの伝統が作用していると考えられます。その以前から続いている、南ヨーロッパを中心とした「難民危機」に対してもそうですが、とにかく「欧州のトラブルには距離を置く」というのが、共和党的な孤立主義の原点であり、今回の反応もそこから来ているという考え方をする必要があります。

米共和党「シリア難民拒否」の根底にある孤立主義 | 冷泉彰彦 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

ヨーロッパが攻撃され彼らが当事者と盛り上がることで、逆に、アメリカはむしろ伝統的に持つ孤立主義的性質が刺激されるという愉快な構図。
まぁほとんどそのまま『9・11』の時の関係をひっくり返したようなモノですよね。まさに被害当事者であるフランス(アメリカ)は燃え上がり、それを対テロ「戦争」と称して軍事攻撃に踏み切った。そこにあるプロセスはほとんど変わりないのだろうなぁと。
「人身御供」「人心安定」のための仏空爆 - maukitiの日記
先日の日記でも少し書いたお話ではありますが、現代国家はこうした緊急事態に見舞われたときにこそ、その国家の存在意義が問われるわけですよ。何故なら現代国家が在るべき意味の大部分は、国民に安全を提供すべきものだから。故に危機に際した政府はほとんどどこでも同じような言葉を使うのです「私たちには問題を掌握しており、解決することができる、皆さん安心してください」なんて。


結果として、フランスはほとんどそのままアメリカと同様の道を辿っている。『9・11』からイラク攻撃まで、まぁその振る舞いについてあれこれ陰謀が語られたりしましたけど、やっぱりこの政府による国民への存在証明という構図が一番説明がつくのではないかと思います。
もちろん根本的に持つ能力が違う以上、そっくりそのままフランスが単独で戦争に踏み切るなんていうことはないでしょう。でもそれはあくまで物理的に不可能というだけで、ここまでの経緯を見る限り、結局は不可能だからやらないだけ、という意味でしかない。
そして逆にあれだけ「対テロ戦争」にお熱だったアメリカも、他人事とあって(無論イラク戦争という経験もあって)かなり冷淡な対応しかしていない。むしろ正しく距離を置こうとしているほどです。


でもまぁこうしたアメリカの「他人事感」について、私たち日本がそれを笑うことは全く出来ませんよね。「『イスラム国』狙われたら安倍政権はどうするのだ!?」とか、むしろそれはほとんどそのまま私たちの写し鏡でもある。そしてそれは、もし仮に私たち日本社会で同じ事が起きたとき、それに近い構図が起こりかねないという意味でもある。
――今でもしばしば「政府の暴走」の可能性が語られたりしますけども、やっぱりその道を辿ることで「国民の同意」によってそれが成される可能性の方が高いのではないかと思います。あの時アメリカが、そして今フランスが辿ろうとしている道のように。
結局誰も彼も同じ穴の狢な私たち。


みなさんはいかがお考えでしょうか?