(政権の)健康の為には(民主主義は)死んでもいい

上級国民にありがちな傲慢さ。


<政権交代は政治家にとって学びのサイクル>政権を「6年毎にかわりばんこ」や「くじ引き」で決めることも一案 - 茂木健一郎
お、おう……。でもまぁ、そういう風に政治的正統性なんか後からついてくるという人が世界的に見て極少数派かというと必ずしもそうではないと思われるので、まぁそういう一部地域で言う分には許されるんじゃないかな。

  • 健全な政権運営の為に選挙結果をデモでひっくり返そう。
  • 健全な政権運営の為には任期延長するしかない。
  • 健全な政権運営の為には非常事態宣言で政権奪取するしかない

……クーデターかな?
ぶっちゃけ民主主義の敵というレッテルを貼られてもおかしくないんですが、そういえば最近もまさに民主主義国家の一角である本邦では、某デモなんかでそんな人を敵扱いしていましたね。

しかし、以上のような見方をすると、政権交代が定期的に繰り返されることにメリットがある。

極論すれば、たとえば6年毎にかわりばんこにやったり、くじ引きでもいいくらいだ。もちろん、通常の議会制民主主義の手続きで、それぞれが主張をし合い、選挙で結果として政権交代が一定のリズムで起きることが望ましい。

<政権交代は政治家にとって学びのサイクル>政権を「6年毎にかわりばんこ」や「くじ引き」で決めることも一案 - 茂木健一郎

……獅子身中の虫かな?
まぁそれをやった方が「健康になる」という所までは理解できますけども、もしやったら民主主義がネタでなく死んじゃって本末転倒じゃないかと思うんですけど凡人でしかない僕には理解できない深謀がきっと脳科学者な御仁にはあったりするのでしょう。
身も蓋もなく「健康の為には死んでもいい」なバカも結構いたりしますけど。


その意味で愉快なのは、こうした発言を踏まえると、最近のデモ祭りなんかでも散々叫ばれていたような「民主主義の擁護者」ってのはむしろ安倍自民党の方になるんですよね。まさに彼らは自身の正統性を当然『選挙での多数派』という一点においていて、それをもってデモによる『民意』に対抗して数による(強行)採決を実行している。
彼らは何もクーデターや非民主主義的な手法で強権を振るっているのではなく、むしろ民主主義の名の下に政権運営(彼らに言わせれば『暴走』)しているわけで。だからといってそれが問題ないというわけではなくて、むしろ現代民主主義の問題ってここにあるんですよ。その政策の中身の是非はともかくとして、彼らのやることには疑いようもなく民主主義として政治的正統性がある、という点に。
ルペンさんやトランプさんの騒動を見ているとよく解るお話なんですが、むしろああして過激で暴走しているような人たちこそが、現代では民主主義の守護者として振る舞うのです。だって大衆を動かそうとする彼らにとっては民主主義であればあるほど都合がいいから。
かくしてそれに反対する人たちは、立候補を制限しろと言ってみたり、くじ引きにしろって言ったりで、むしろ「民主主義の敵」にしか見えないっていう素敵な構図が生まれることになる。


ともあれ、こうした人たちが死ぬほど愉快なのは、つまるところ言っているのは「(当然自分は含まれていない)大衆」たちが選挙で選んだ結果が間違っている――と直接には言いませんけど「健全ではない」とか言ったりする――と事実上言っていて、だからこそそんな間違った結果が出る『選挙』は再考するべきだ、と言っているに等しいんですよね。まぁ一有権者として、そう言いたくなる気持ちになる選挙が皆無というと、やっぱりそうではないので少し解りますけど。
でも、だからといって、その『民意』が間違っているなんて言ってしまったら民主主義はおしまいですよ。ほんとうに民主主義を殺す実行者というのは、愚民のバカを許容できない上級国民であることが、しばしば、あったりするのがこの世の常でもあるように。


そんな典型的な上級国民っぷりを暴露していながら、その代案が「くじ引き」という辺り、死ぬほど愉快なお話ではあるんですが。皆お手てつないで1位でゴールとか、みんながみんな主人公とか、悪平等な世界。共産主義かな?
つまりそれはそれでまったく競争が存在しない世界であり、イコール事実上与野党交代による相互作用である新陳代謝が生まれない、という意味で本題である政権交代の必要性という面からも、まったく何を言っているのか解らないレベルなのでちょっと脳を科学してみる必要がありそう。


がんばれ脳科学