DQ10開発にプレイヤーたちがスカスカ対策を求めた皮肉な結果

そしてDQ伝統とオンラインゲームの相克へ


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そういえば少し前にDQ10のアップデートがあったんですが、そこでストーリーボスの難易度選択が廃止されたことに加えて、ストーリーボスが史上最高の超難易度でものすごい大騒動になっているのでした。結構な話題になった少し前のチート騒動よりも反発は大きいかもしれない。
実際僕もメインの方はともかく、サブの方は(どうにかマップ解放まで進めたものの)かなり辛い。ていうか金策用サブというだけあって装備やスキルとか妥協しまくっているので、実際サブは真面目にやってもクリア大変そうなので緩和待ちです。


まぁぶっちゃけ開発がこうした理由はよく解るんですよ。どう見ても前回アップデートで一番糞味噌に言われていたゲームボリュームへの『スカスカ対策』でしょう。まさにそのおかげで今回は、ボリューム的には前回以上に短いものの、そうした批判はほとんどないのだし。
それこそ前回「2時間で終わる」と言われたアップデートの時も、今回のようにストーリーボスを超難易度にしておけば(もちろん一部廃プレイヤーは即終わらせるでしょうけど)ああした批判はほとんどなかったはずで。
その意味で言えば、難易度上昇って単純にネトゲにおける「時間稼ぎ」を考えた場合、コスパとしては最適解なんですよね。同じ5時間分ストーリーを作るのと、5時間分ボスに苦戦させるのでは、プレイヤーの所要時間は同じでも開発側の労力としては段違いなのだし。


結局のところ、この現状を生んだのは、ほとんどそのまま前回『スカスカ対策』を叫んだ人たちのおかげなのです。スカスカじゃなくなってやる事(ボス撃破対策)ができてよかったね。今の現状と比べてどちらがマシかと言われると困ってしまいますけど。
おそらく、あの時にあれほど批判されなければ、今回の事態はなかったはず。




さて置き、また別の見方をすると、個人的にこの騒動が殊更にプレイヤーたちの心の琴線に触れまくっているのは、ある意味で(これまでオフラインであった)ドラクエの伝統的価値観と、オンラインゲーム的常識の相克でもあるんじゃないかと。
――ドラクエの良さについて、「ストーリー」と言う人は少なくありませんが、個人的に言えば「ストーリーボスで詰まっても大抵『レベル上げ』でどうにかなる難易度」だとも思うんですよね。
つまり、伝統的ドラクエの身も蓋もないセオリーと言えばボスで困ったら「レベルを上げて解決」だったわけですよ。もちろん戦略戦術を練ることで低レベルクリアできることも少なくないものの*1、大人も子供もおねーさんも*2、基本的にはレベルさえ上げれば誰でもクリアできた。その成長具合のバランスの妙=やさしさこそがドラゴンクエストというゲームの真髄の一つでもあった。
ところがまぁそうしたやり方ってMMORPGでは不可能なんですよ。
段階的に上限が解放されることはあっても、必然的にレベル上げ等によるキャラクター成長要素には天井が存在することになる。今回の件も、最早「レベルを上げて」どうこうできる問題じゃない。いやむしろ、使う職を上限のLv90付近にして、サブ職でステータスパッシブと武器スキルを揃え、更に一線級の装備を用意して、ようやくスタートラインです。そこから所謂「プレイヤースキル」「(強い味方を集めて)パーティの連携」でボスに挑むことになる。
まぁそれをドラクエらしくないと批判するのは簡単ですが、しかし現在のネトゲ=MMOPRGでは日常的な風景でもあります。FF14なんかその筆頭事例ではありますが、私のようにそれに予め馴染んでいる従来からのネトゲプレイヤーな人たちは受け入れやすいものの、しかしあくまでDQ10に「ドラクエらしさ」を期待していた人たちやあるいはネトゲ初心者な人たちに同様の許容ができるかというと、やっぱりそうではないよねぇと。
もちろんこうしたハードルは以前からずっと存在してきたものの、しかしバージョンアップが重なるにつれどんどんスタートラインのハードルは高くなり続けている。それを全員に求めるのはやっぱり無理があるよね。そしてだからこその「難易度選択制」でもあったわけで。
でもスカスカ対策をしろとプレイヤーから非難轟々に叫ばれた開発はそれを外すことになった。



今問題となっている「難易度選択撤廃+ボス超難易度化」でプレイヤー層の意見がまぁ見事に割れているのってそういうネトゲ文化にどれだけ馴染みがあるか、というお話なのではないかと思っています。
今回の件は、ある意味でMMORPGの王道をドラクエ10を進み始めたことの証左であり、まぁそれはそれで一つの解答ではあります。前述したようにFF14だってそんなもんだしね。しかしやっぱり伝統的ドラクエの一つの要素であった「レベルを上げて解決」との離別でもあることは間違いないだろうなぁと。



つまり今のDQ10には深刻な二律背反があるのだと思っています。今更というか、ようやくというか、ネトゲ化した以上避けられない問題についに直面しつつある。

無論カネと時間さえあれば力技で前者を解決することは可能でしょう。でもある程度の大人ならば、そんなの無い物ねだりだって事くらい理解できますよね。だからといって単純に後者を選べばいいかというと、やっぱり今回の大騒動自体が証明しているように、それはそれで「ドラクエらしくない」として多くの(特に)ライトプレイヤーたちの離反を招くわけですけど。
ネトゲ(あるいは昨今のソシャゲなんかも)を長くやっている人なら多かれ少なかれ解っていると思いますけども、こういのって一度やめて冷静になってしまうと戻ってくるのは、かなり限られた一部プレイヤーでしかないんですよね。「緩和待ち」とか言って口だけでなく本当にやめた人が戻ってくるのはかなり悲しい数字になるでしょうし、開発運営もこのジレンマに頭を抱えているんじゃないかな。
がんばれDQ10開発運営の中の人たち。



スカスカ対策か、ボス超難易度か。
アストルティア冒険者のみなさんはいかがお考えでしょうか?

*1:こっちは伝統的にFFシリーズの分野。

*2:これはマザーシリーズの宣伝。