「計算通り」とほくそ笑む先進国の私たち

(少なくとも先進国の私たちにとっては)氷河期より温暖化のがマシだものね。



温室効果ガスの排出が次の「氷河期を遅らせた」? - BBCニュース
面白いお話。来るかもしれなかった氷河期は、私たちの祈りのおかげで回避できていたのだ。まぁCOPで毎回見られるグダグダを見れば「無策の結果」とか身も蓋もないことも言えてしまうんですが。




そもそも、気候変動って地球に住む私たち全員が等しく影響を受ける問題ではあります。でも実はその影響の『多寡』という意味ではまったく違うわけですよ。もちろんそこには温暖化した方が得――一般に良く言われるのは耕作地が増えると見られる亜寒帯域の大きいロシアやカナダ――というまったく逆のポジションが少数居たりしますけども、むしろより問題なのは、それ以外の大多数を占めるそこまで「致命的な影響を受けない」国々の存在であるわけですよ。
――地球が多少、それこそ2~3度温まった所で、別にすぐ困ったことになるわけじゃない。
概ね日本もこのポジションですよね。そしてこのポジションを取れる理由の最も大きな一つは、それだけの余裕=金がある国、ということの証左でもある。例えば海に沈みそうなツバルなんかはどうしようもないものの、アフリカのサヘルなんかではその「多少」が死に直行するのは概ね彼らが死ぬほど貧しい故に一度の旱魃で容易に死に至る所までいってしまう点にある。


しかし先進国に住む幸せな私たちはそうではないよね。おそらく多少の苦難は避けられないものの、農産業はどうにかこうか適応していくだろうし、よりミクロな個人的影響で言えばせいぜい真夏の冷房費が上がるくらい。
それこそ私たち日本やヨーロッパなんかの気候変動と歴史の相関なんかを考えると、より問題になってきたのはむしろ氷河期の方でしょう。おそらく、農業に与えるインパクトなんかでは、先進国の多くにとってはこちらの方が尚も被害が大きい可能性が高い。
実際今の温暖化トレンドの前(80年代以前くらい?)には、むしろ本気で氷河期到来こそが心配されていて、地球を如何にして温めるか悩んでいたのだし。

ガノポルスキ博士をはじめとする研究チームによる実験モデルはこれを確認すると共に、大気中に大量に存在する温室効果ガスの影響も浮き彫りにしている。
研究ではさらに、おそらく数百年前に実は氷河期が始まるはずだったのが、かろうじて免れたらしいということも分かった。産業革命が本格化する直前のことだ。

温室効果ガスの排出が次の「氷河期を遅らせた」? - BBCニュース

皮肉にも「どうせ自分たちはそこまで困らないから」と温暖化問題を騒ぎながらも放置し続けたおかげで、先進国に住む私たちにとっての最悪のシナリオは回避できたのかもしれない。
やっぱり計算通りとほくそ笑んじゃうオチだよねぇ。


逆に困る人たち=貧しい人たちも一杯いるんですけど。でもまぁ仕方ないよね。まさに中東世界の混乱が証明しているように、国境の差が命の差、なのだから。
がんばれ人類。