まるで麻薬のようなウォルマート・エフェクト

来ても地獄、帰っても地獄。


大型ショッピングモールが撤退すると残された町はどうなるのか? - GIGAZINE
うーん、まぁ、そうね。

The Washington Postの分析によると、ウォルマートが発表した閉鎖店舗リストは、比較的低所得者が多い地域の店舗であるとのこと。「ILSR(地方の自立研究所)」による別の分析では、閉鎖リストに載っている89%の店舗が1人あたりの保有面積が平均より広い(人口が少ない)州にあることや、閉鎖リストの95%は10マイル(約16km)以内に別の店舗が存在する店舗であることが分かっています。ILSRの所長は「大規模小売チェーンは市場シェアを獲得するため需要以上の設備を建築することがありますが、オンラインの売上高の上昇に伴い、過剰設備は不要なものになりつつあるでしょう」と分析しています。

大型ショッピングモールが撤退すると残された町はどうなるのか? - GIGAZINE

やっぱりあのウォルマートさんですら、オンラインショッピングとは無縁ではいられないのだなぁと。どちらも中小な人たちからは蛇蝎の如く嫌われている両者ではありますが、共倒れなら喜ぶ人もいるかもしれない。
でもなんというか、実際にそのせいでウォルマート撤退による苦境を見ると「毒を以て毒を制したら本体が瀕死」な感じで笑うしかない構図ではありますよね。


それこそウォルマートが駆逐したスーパーなんかも典型ではありますが、彼ら小売りの薄利多売による利益率って一般にそれはもうギリギリなわけですよ。スーパーだと利益マージン1%位でしょうか。
でもこれってウォルマート自身もまったく同様なんですよね。35ドル売ってようやく1ドル儲ける人たち。
まさに彼らは「限界までの安さ」を追求する故に、わずかな(人件費や売り上げ等)影響にさえも左右されてしまう。少し前にも話題になったカナダでのウォルマートの組合結成に反発して店舗毎撤退というのも、組合の要求を呑んだら採算が悪化する、という身も蓋もない経営上の問題でもあったわけで。良く日本でも言われる「ブラック労働が低価格を支えている」ってウォルマートも同様――というか規模で言えばあちらこそ本家とすら言えるかもしれない――なのです。
徹底的で容赦のないコスト削減こそ彼らの「安さ」の秘訣でもある。
そら(悪化したら)そうなるよね。


ともあれ、ウォルマート進出にあたっては「すると地域の貧困が悪化する」という研究もあったりするわけで*1。新規出店から競合ライバルたちが姿を消すことで失職し、今度はウォルマートが消えることで更に仕事が消える。
いやぁどちらに転んでもロクでもない結果しかもたらさない人たちだよね。


来ても地獄、帰っても地獄。しかし、それでも、それに見合うだけの魅力が『低価格』という大正義にあることもまた事実でしょう。
私たち庶民はエブリデーロープライスの魔力にあらがえない。既に一度その味を知ってしまったから。


がんばれウォルマート

*1:ウォルマートに呑みこれまれる世界』P238