働きアリさんたちの悲劇

まぁ酷使されるアリさんってあんまり違和感ないしね(偏見)


【アリさんマークの引越社】アルバイトに「2人以上で飲酒したら懲戒解雇」という誓約書にサインさせる(佐々木亮) - 個人 - Yahoo!ニュース
「アリさんマークの引越社」現役の従業員が告発した地獄 - ライブドアニュース
そういえば某副社長さんの愉快な動画でも露見していたアリさん引越社が再炎上しているそうで。

飲酒運転を防止するため、という言い訳のようですが、ちょっと苦しいですね。
もしそうだとすれば、タクシー会社やバス会社などであるように、乗務の前日に限定し、かつ、一定の時間以降だけ飲酒を禁止し、さらに乗務直前にアルコール検査を行えばいいだけです。

そもそも、「2人以上」を禁止する必要は全くないのです。

したがって、この禁止の目的として言われている飲酒運転防止はウソだと思います。
これは単に従業員同士の横の結びつきを妨害する意図であると考えるのが普通でしょう。

【アリさんマークの引越社】アルバイトに「2人以上で飲酒したら懲戒解雇」という誓約書にサインさせる(佐々木亮) - 個人 - Yahoo!ニュース

半年前の通常日記で、「マジかよ現代中国かよ」とネタにしたお話の裏がとれちゃった感。
実際こうした集会禁止って、現代でも中国のウイグルなんかが有名なように、弾圧等で情勢不安定な地域において「治安維持」という点でそれなりに効果的ではあるんですよね。労働者たちがロクなことを企まないように分断しておけるから。それをできるだけの強権と、後はまぁ外野から当然くるだろう批判をされても気にしないだけの面の皮さえあればいい。


ともあれ、ただまぁこうしたアリさんたちの苦境について、概ね顧客側である大多数の私たちにとってただ泣いたり笑ったり怒ったりすればいいお話なのかというとやっぱりそうではないわけですよ。実際、アリさんって大手引越業界の中ではダントツというほどではないにしても、概ね安い方でしょう。
――ならば一体どうやってそんな彼らの「安さ」が実現されているのか? 
ちょっと考えればわかる話ではあります。もちろん健気で地道な経営努力もあるでしょうけども、それにだって限界があるでしょう。となると、まぁ最も効果的で簡単な方法はアリさんの中の働きアリさんたちが死ぬほど働くことである。Q.E.D
安価で(そこそこ)サービスの良いお引越しはこうして実現している。
ただ、ブラック企業が蔓延するこの現代社会において、あまりにも明示的だとそれはそれで私たちは引いてしまうのも事実でしょう。無数に売られる小売商品なんかだと規模の経済が効いていて正直実感が沸きにくいものの、引越サービスなんてほとんどそのまんま自分と同じ「人間」が働いている以上、原価なんか比較的想像しやすい分野でしょうし。
世の中には低層の働きアリさんたちは消耗品のように使い捨てて構わない、という愉快な思想な人たちも居たりするんですが、少なくない人たちはそこまで厚顔無恥ではいられない。その意味で言えばこうして大事にすればするだけアリさん離れが進むのは多少なりともあると思われるので無駄ではないでしょうね。


しかし、それでも、上手く隠してくれればそれを選ぶのにはやぶさかではない。だって安いということは倹約に繋がり、つまり私たち庶民にとってはその点こそ大正義なのだから。より「解りにくい」ブラックを選ぶようになるだけ、とまでは言いませんが、結局この問題の根の一つはこうした私たち自身の美意識にある以上、根治は難しいよね。もっと可哀想な、それこそキリギリスさんマークの引越社だったらよかったのにね。
上記記事では幸福追求権の観点からその契約を批判していますけども、これだと次にやってくるのは某パラノイア風の「アリさんで働ける我々は幸福です」という次元だろうねぇ。


がんばれ働くアリさんたち。