とにかくもう中東には帰りたくなーい

ノーモアミドルイースト。


ISISからシリアを解放できるのはアメリカ、さもなくばロシアとアサド | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
概ねタイトルの通りだよねぇと頷くしかないお話。そしてアメリカ=オバマさんには明確にやる気がない。となると選択肢は事実上一つしかなかった。

 その答えの一部は、3月30日のホワイトハウス報道官ジョシュ・アーネストの言葉に表れている。記者はこう質問した。「大統領は有志連合に『ISISに勝ちたいなら、今すぐ地上軍を送ろう』と言うべきでは」

 アーネストの答えはこうだ。「大統領は、地上部隊の主力は自国のために戦っている人々であるべきだと考えていると思う。我々は、よその国では戦うべきでないという教訓を学んでいる」

 残念ながら、これらの前提に疑問を投げかける記者は一人もいなかった。我々が学んだ本当の「教訓」は何かについて問い質す記者もいない。

ISISからシリアを解放できるのはアメリカ、さもなくばロシアとアサド | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

「教訓」って、そりゃ「アメリカは中東に関わってもロクなことにならない」という身も蓋もないオチでしょう。
まぁ気持ちは解ります。もう『中東』にはかかわりたくなーい、という素朴な気持ち。


しかしこうしたオバマさんの気持ちがアメリカの中東外交政策から殊更に異端なのかというと、そうとも言えないわけですよ。
――むしろアメリカが中東における最前線プレイヤーとなったのはイラク戦争以降でもあるわけで。ところが2003年になると数十万規模の兵力を継続的に展開し、文字通りアメリカは中東におけるメインプレイヤー・当事者・主演者の一人となってしまった。
もちろん潜在的な権益やプレゼンスは以前から第二次大戦以降ずっとあったし、湾岸戦争等危機となればアメリカが直接出張ってくることはあった。それでも、中東においてあくまでアメリカは(最も出番が多いながらも)脇役かせいぜい助演でしかなかったのに。


ここでアメリカが以前の『脇役』に回帰する、という意見については某ネオコンな人たちを除けばほとんど衆目の一致するところではあるでしょう。
ところがぎっちょん、そんなオバマさんの素朴な願いである「脇役で居たい」という気持ちは、むしろ他の人からは「脇役どころか、ただの観客になろうとしているのではないか」と見られているんですよね。
日本でも根強くそうであるように、別に観客になったっていいじゃないの、というのは確かに一つの真理ではあります。ただそうなるとアメリカの意向を全く気にしない舞台となることを意味するわけで。畢竟中東世界における震源の一つでもあるパレスチナ問題なんかとも関われなくなる。
ちなみに余談ではありますが、これまでの日記で何度か言及した子ブッシュ政権のパレスチナ問題への(それこそオバマ政権よりもずっと)強い関心って、こうしたアメリカの中東でのメインプレイヤ―化とほとんど同義なんですよね。彼らはイラク戦争から全力で中東に乗り込むことを決めたからこそ、中東和平ロードマップ*1なんかのようにパレスチナ問題にも関与するだけの発言力と強制力を得た。まぁそれも失敗し、挙句オバマ時代には結局上記のようにやる気を失くした結果、アメリカは過去あった発言力そのものも失うわけですけど。




中東と適切な距離の置き方が解らないアメリカ。
まぁオバマさんの任期ももう終わりだし、後は適当に言葉を濁して逃げ切ればいいやとか考えているのだろうとか身も蓋もないこと言うとアレですけど。オバマさんには伝家の宝刀である核なき世界=ヒロシマ訪問でワンチャンあるしね。


がんばれ「次の」アメリカ大統領。
――あれこれ2008年辺りでも見たな。