ならばお金持ちの言う「無駄な税金」とは一体何なのか

お金持ちが口を閉じておくべき当たり前の理由の一つ。



http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160509-00000051-dal-ent
ということでまぁ炎上商売の一環でしょうしマジレスするのもアレではありますけど、折角また盛り上がってるしね。

 実業家のホリエモンこと堀江貴文氏が9日、世界を騒がせているパナマ文書で高額所得者たちの所得逃れが次々と明らかになっていることについて、ツイッターで「無駄な税金納めないのは普通」と持論を述べた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160509-00000051-dal-ent

まぁなんというか、相変わらずフィクションに出てくるような人ではあるよねぇと。自覚があるのか無自覚なのかはわかりませんけど、商売なのか、天然なのか。ザ・イヤな金持ち。


ともあれ、まぁ確かにミクロで言えば彼の発言である「無駄な税金納めないのは普通」は一理はあるんですよ。貧富に関係なくほとんど誰にとっても大事なお金を税金なんかでさっぴかれるのはムカつく、というのは普遍的感情でもあるでしょう。
――でもそれってある種の「合成の誤謬」でもあるわけで。
実際マクロで見るとそういう考え方はものすごく危険ですよね。私たちが支払う税金とはそのままイコールで公共政策の財源でもある。誰もがホリエモンさんのように回避しようと考えたら、年金から公共施設まで、現代社会が『税』で賄う各種公共財が多かれ少なかれ失われるのはまず確実でしょう。
所謂「小さな政府」派や、マジックワードとなった新自由主義者あるいは社会ダーウィン主義な人たちからすればそれも望む所ではあるのでしょうけど、現代先進国の主流とはとても言えない。


もちろんそんな節税について彼も「無駄な」とエクスキューズしている辺り(だからこそ本音っぽい印象もあるんですけど)で擁護することも出来なくはない。確かに無駄な税金はあるかもしれない、じゃあその無駄って誰が決めるの?
むしろ、彼の発言で一番重要なのはこの「無駄」という部分にあるとすら言えるかもしれない。オリンピックは? 軍事費は? 文化保護は? 社会保障は? それこそホリエモンのような金持ちたちはしばしば中間層以下向けなセーフティネットに税金をつぎ込むのは無駄だと考えているわけだし。


だから、「お金持ち」という属性と「無駄な税金」という発言が同時に出るとものすごく危うい所に行きつくことになるんですよ。かくして余計な波風を立てまいとするお金持ちたちは表向きは沈黙する。


その意味で、今回の彼の発言で節税の道義性云々ではなくこの「無駄な」とエクスキューズしてしまった点でこそ、多くの人の素朴な怒りを買ってしまっているのではないかと個人的には思います。それを言ってしまったら、まさに普段から彼自身も言っているように金持ちが考える無駄な税金の使い道と言えば……。
そんな風に金持ち有権者が圧倒的な政治的影響力を持ってしまった結果、正しく「無駄」な税金がカットされ、必然の超格差社会が生み出されているのが現代アメリカでもあるわけで。そしてそうした問題は現代先進国では、ほとんどどこでも重要な政治テーマとなっている。


節税の道義性云々というよりは、また別の次元の地雷を踏んじゃってる感じ


みなさんはいかがお考えでしょうか?