「持つ者」と「持たざる者」の階級闘争の趣

マルクスさんによれば、まさにそれこそが歴史動因なので正解かもしれないね。


英EU離脱投票:暴走するワーキングクラスの怒り | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
ということでいよいよ明日であります。個人的には、銃撃事件――ていうかこれ後になって絶対陰謀論言われそうだよね――もあったし、やっぱ残留優勢だとは思っていますけど。

 これまで一般に、保守党支持者と比べて労働党支持者は残留支持が多いと言われ、残留を唱えるキャメロン首相は、実は労働党支持者の票をあてにしてきたとも言われてきた。

 実際、労働者はEUの規制に守られていたほうが権利を維持できるのだというのは労働者の街でも一般論だ。保守党政権は昨年の総選挙後、組合のストライキを困難にしようとしたり、組合から労働党への献金にも規制をかけようとしてきたからだ。

 EU懐疑派のコービンは、EUはデモクラティックな組織ではないとしながらも、「EUから抜けると保守党の労働者への締め付けに抑制が効かなくなる」と主張して残留を呼び掛けてきた。

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 加え、わたしの周囲の中高年労働者がよく言っているのは「そんなにEUが労働者を保護するなら、どうしてギリシャやスペイン、ポルトガルでは50%近い若者が失業しているんだ」ということだ。「EUは労働者にやさしい」というレトリックは地べたの人々には説得力がない。

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離脱派の言う(「移民受け入れ拒否」との引き換えの)「手厚い労働者保護」って上記リンク先では矛盾する構図のように書かれていますけども、実はそれって概ね親和的だとも言えたりするんですよね。
何故アメリカと較べて欧州のイスラム社会は孤立しがちなのか、に対する答えの一つ - maukitiの日記
この辺は以前も書いたお話ではありますが、本邦でも似たような構図があるように、手厚い労働者保護を進めると既存『正規』労働者の保護に繋がり、結果として新しく競争に入るだろう人たちにとってはハードルの高さにも繋がることになる。もちろん「自由すぎる」労働市場がロクでもないことも間違いなく事実でしょうけども、しかし硬直性があり過ぎるのも正解とは言えない。
内部者に優しいということは外部者には厳しいということでもあるし、内部者に厳しいということは外部者に優しいということでもある。
だから上記離脱派の人たちの切実な希望ってある意味一貫してはいるのです。彼らは守られるような正社員でないからこそ、地べたを這うことになるのだから。


ともあれ、これって単純に文字通り「新参者」である移民難民にもプラスになるお話なんですよね。だから残留か離脱か、真にジレンマなのはそうした人たちじゃないかと思ったりします。彼らにとって労働市場は自由である方が都合がいいものの、しかし単純に入国だけを考えれば残留した方がいい。
元々イギリスという国がヨーロッパでも人気があったのって、社会保障が厚いだけでなく「かつ」労働市場が他欧州国と比較するとアメリカのように柔軟であったからなわけで。



できるだけ労働市場は規制を無くすべき=個人主義的であるべきか、それとも規制によって保護するべき(そうしなければ「ゆとりある」働き方は不可能である)=団体主義的であるべきか。
一般には前者がアングロサクソンアメリカ(イギリス)で、後者はヨーロッパ(ドイツフランス)であったわけですけども、一体どちらが正解なのかまぁ専門の経済学者の間でも明確な回答の出ていない、難しいお話ですよね。
ということで、今回のイベントはほとんどそのまま「持つ者」と「持たざる者」の階級闘争な趣があって、現代社会を考える上で私たちも他人事でなく色々と面白い光景になっている理由の一つではないかと。
がんばれイギリス。


みなさんはいかがお考えでしょうか?