国民投票は民主主義四天王の中で最弱

(他の三人については特に考えてません)


【英EU離脱】「民主主義はポピュリズムにもろい」「キャメロン首相の大ばくち失敗」 中国新華社配信(1/2ページ) - 産経ニュース
うーん、まぁ、そうねぇ。もちろん彼ら独裁政権ポジショントークとして、あるいはそもそも馴染みがないから、という事情はあるでしょうけど今回の件をして「西側の」民主主義と言われると困ってしまうお話ではあるかなぁと。
いやまぁ本邦でも(政治家自身ですら)勘違いしている人は結構少なくないのでアレではあるんですが。

 国営新華社通信は24日、「キャメロン首相の政治的な大ばくちが失敗」とする評論を配信。「西側が誇りとしている民主主義の制度が、ポピュリズム民族主義、極右主義の影響にはまったくもろいことが示された」として国民投票の結果を否定的に伝えた。

【英EU離脱】「民主主義はポピュリズムにもろい」「キャメロン首相の大ばくち失敗」 中国新華社配信(1/2ページ) - 産経ニュース

まさに今回の件がそうだったように「ポピュリズムに弱い」というのにはまったく反論できませんけど、今回の件をして民主主義って言われるとなぁともんにょり感。一般に言われる「民主主義政治」って、今回の国民投票による多数決が全てっていう原理じゃないですよね。
原語であるデモクラティアにはそうした意味があったらしいですけども、そもそも現代の民主主義政治の根幹って「政治家は選挙によるチェックが義務付けられ」且つ「政治家は(憲法等によって)限定された権力しか及ぼせない」という点にあるわけですよ。


選挙による政治家抑止と、限定された権力、こそが民主主義システムの根幹である。一般に(自分含む)「民主主義は素晴らしい」と言うとき、念頭にある概念というのは上記政治体制にあるわけで。
現代日本において、少なくとも上記構図は確実に維持されていると思うので、民主主義が死ぬとか独裁とかヒトラーとかいう人は何言ってるんだクスリでもキメてんのかと思ったり思わなかったりします。そういう人は、上記中国の記事ように、民主主義とは単純に「国民受けする政策」とするような民主主義に馴染みのない世界に住む人たちなのだろうなぁと。
もちろん直接投票による政策選択が「民主主義的ではない」とは言いませんが、しかしやっぱり現代における民主主義政治システムにおいて直接民主主義というのは、多くの事例を見れば解るようにぶっちゃけそこまで重視されていませんよね。強く使途が限定されているのは、実際に今回のような決着が出てしまうことだってあることを知っているから。


他にも欠点を言えば、結果が出てもそれが僅差であればあるほど荒れることになる。51対49で、その49%の意思を無視すると言うことがあからさまになってしまうから。
以前住民投票の日記でも書きましたけど、直接投票って諦めのつく大差ならともかく、僅差だと両有権者を分断する危険が強すぎるんですよ。だからこそそこで良くも悪くもワンクッション置ける代議制という、直接ではない間接システムが主流であるわけで。


ということであのイギリス国民投票を切り取って「民主主義オワタ」というのは中国さんちらしいポジショントークだなぁとしみじみ思ったりします。まぁ正しく実現されたら中国共産党終わっちゃうから仕方ないよね。


がんばれ民主主義。