再びスポーツは国際政治の舞台となるのか?

今回はどちらが「熱心」かと考えると色々と面白いお話になりそう。


ロシアをパラリンピック参加停止に ドーピング問題で - BBCニュース
そういえばオリンピックが開幕しましたけども、ドーピング云々でまぁ愉快なことになっているそうで。

一方で、国際オリンピック委員会IOC)は先月、リオ五輪へのロシア選手団の参加を認める判断を下している。
IPCは、「ロシア・パラリンピック委員会は、IPCの反ドーピング規定や世界の反ドーピング規定の順守と執行を、彼らの管轄下において保証することができない。またIPCのメンバーとして基本的な義務を果たすことができない」とし、「その結果、ロシア・パラリンピック委員会の資格を即時停止する」と述べた。

ロシアをパラリンピック参加停止に ドーピング問題で - BBCニュース

おそらく政治力を発揮できたIOCでは出場全面禁止を回避できたものの、しかしIPCの方ではそうではなかったのだろうなぁと。身も蓋もない委員会内の政治バランスの結果が、こうして両者の解答の違いとして出たのでしょうね。
――面白いのと同時にまた悲劇的でもあるのが、「ドーピングしてまで」の国威発揚=メダル獲得競争に熱心でなかっただろうパラリンピックだからこそ、その構図故の身の潔白がそのまま政治資源の乏しさに繋がり、結果追い出されたっていうのはホントかわいそうなお話ではあります。

声明の中では「今我々は、スポーツへの政治介入の危険な繰り返しを目にしている。最近の出来事、国際的なスポーツとオリンピックムーブメントを取り囲むふつうではない雰囲気は、1980年代初頭と似たものをひとりでに呼び起こす。このような介入の形は変化したが、本質は以前と同じで、スポーツを地政学的圧力、国や民族のネガティブなイメージづくりの手段としている」と述べられている。

プーチン大統領 ドーピングについて:ロシアは国際的な義務を果たしている - Sputnik 日本

そもそも論を言えば、プーチンさん自身も言っているように冷戦時代といえばまぁスポーツも両陣営の争いの最前線の一つでもあったわけで。だからこそ(ナチスから続く)自身の優位性を示すために彼らはドーピングに手を染めるし、更には国際的なスポーツ連盟の多くの各委員会では代表者間の勢力バランスを保つことに神経戦が行われていた。


冷戦が終わりロシアに経済的余裕がなくなるとそうした政治は表向き徐々に後退していていったものの、ところが時代は変化しつつある現在、再びスポーツナショナリズムも復活し、ドーピング(今回のようにそれへの「批判」も含む)や、国際スポーツ委員会を舞台にしたパワーゲームも帰ってくるのかなぁと。
その意味で、今回はかなり不利な決着を押し付けられたロシアではありますが、単純に今後も不利なまま続くのかっていうとそうともあんまり思えないんですよね。だって、ロシアや中国が尚もそうした国威発揚を重視する一方で、欧米を筆頭に(招致反対も少なくなかった私たち日本なども同様)ぶっちゃけそんなもの飽きつつあるから。
――となると、スポーツ委員会の政治ゲームの様相もこのまま行くとは思えないよね。中国っていう大スポンサーもいるのだし。


あるいは、もしかしたら、この21世紀、所謂西側な私たちも再びオリンピックとそこに潜むナショナリズム的感情に熱中する時がくるかもしれない。まぁそれはそれで地獄感ありますけど、でも、世の中どんなことだってありうるしね。


がんばれオリンピック・パラリンピック