スタンドバイミーアメリカ

でも未来に帰りつつあるアメリカ。


レックス・ティラーソン次期国務長官がもたらしうる暗い世界: 極東ブログ
面白いお話。

 問題はむしろ、相対的にこれまで世界の原油を支えてきた中近東なかでもサウジアラビアへの米国関与が弱体することだ。この地域の秩序がさらに崩壊する。これがオバマ政権下ですでに進行していたことだった。
 オバマ政権は、実質イランとサウジアラビアの代理戦争であるシリア内戦に無関心だった。関与については、ドローンによる殺戮を強化するくらいだった。映画『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』は英国映画だが、この主題が問われるのはオバマさんでしょう。
 いずれにせよ、この動向がさらに進展していくだろうし、むしろ現在のシリア情勢がロシアの関与によってもっとも悲惨な形で「安定化」させられていくように、ロシアによる地域秩序の分担が起こるかもしれない。

レックス・ティラーソン次期国務長官がもたらしうる暗い世界: 極東ブログ

この辺はシェール革命なんかが騒がれていた当時から言われていたお話でもありますよね。元々カータードクトリンなんかにあるように、彼らは石油価格への致命的影響を避けるためにこそかの地の安定を願ってきたわけですよ。東アジアにおける日本と同様に、サウジは地域での重要な同盟相手として役割を果たしてきた。


ここで更に面白い――あるいはfinalvent先生が言う所の「暗い世界」が見えてしまうのは、アメリカにおけるタカ派の「親イスラエル」の抑止力の一つとなってきたのも同様に、こうした中東騒乱=石油危機への恐怖でもあったんですよね。
ずっと反アメリカ言説としてあった、アメリカの「イスラエル擁護」のポジションは、同時進行で「サウジとの友好関係」でもあったわけで。本来であれば矛盾するはずの両者を両立させてきた(=中東の安定化)のが、これまでのアメリカ外交の現実主義でもあった。ちなみにイスラエル核兵器問題もこの文脈にあって、イスラエルが核を持ってると明言してしまうこと自体が中東世界の致命的な不安定化要因になりかねない。故にあの国の核は誰もが知っていながら「ないことになって」責めることも庇うこともしない均衡状態として存在してきた。


ところがぎっちょん、オバマさんは両輪の片方(サウジ関係)を捨てつつあり、次のトランプさんはそれだけでなくもう一方(イスラエル関係)を強化するとまで言っている。もうアメリカはそばに居てくれそうにない。
いやぁ「暗い世界」というのも無理ないよね。


石油が沸いたおかげで欧米列強の草刈り場となり、石油が沸いたおかげで既存秩序が崩壊しつつある中東。
何もかも石油が沸いたのが悪いんや!(100年ぶり2度目)



中東の火薬庫への導火線はあと何マイル?