いつのまにか「平和」概念防衛の最前線に立ってしまった私たち

べっ、べつに日本君がしんぱいできたんじゃないんだからねっ!


フランス海軍艦艇が佐世保入港、日米英と訓練 北朝鮮をけん制 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
ということで相変わらず置いてけぼり感のある北朝鮮騒動ではありますが、日本以外にも色々と進んでいるようで。状況が煮詰まりつつあるのか、それとも膠着状態へと向かいつつあるのかは解りませんけど、まぁそれも仕方ないよね。
もしここで抑制に失敗し韓国あるいは日本が本当に攻撃されてしまったら、確実に人類史における悲しき新たな前例となってしまうのは間違いないから。世界中で溢れているはずの、遠く貧しい国が似たような外国から攻撃され生命財産が破壊された、というだけじゃ済まない意味を持ってしまうことになる。

東京から駆け付けたダナ仏駐日大使は、ミストラルのブリッジで記者団に対し、「佐世保の寄港初日に北朝鮮がミサイルを発射するとは思っていなかった。成功にせよ、失敗にせよ、許せない行為に変わりはない」と語った。その上で、「法律の順守、平和、地域の安定を重視するこの4カ国が連携することで、北朝鮮に対処する姿勢を見せることになる」と述べた。

フランス海軍艦艇が佐世保入港、日米英と訓練 北朝鮮をけん制 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

無論それは特にヨーロッパ諸国にとっては「何が何でも」と日本に肩入れするほどに大きな意味を持つワケではないでしょう。しかし、かといって核兵器は誰しも無関心でいるには重要すぎるし、そもそも国家安全保障はパーマストンの言う永遠たる国益でもあります。
今も議論のやまぬ「国家の役割とは何か?」という根源的問いについて。
「市民を侵略から守ること」というのは最も古典的ながら現代でも尚支持者の多い解答の一つではありますが、もし典型的な西側社会のひとつでもある日本がそれに失敗すると、それが現代国際関係で「古典的」ですらなくなってしまうという点で(ただ日本政府のバカな失態というだけにとどまらない)大きな意味を持ってしまいかねない。克服できたはずの国家の役割が復活し、対テロというエクスキューズすら無くなりそうな戦時へ。


こうした平和概念の享受が当たり前となっている社会において、似たような先進社会が外部国家によって直接攻撃されるというのは、まぁ考えられるシナリオでも最悪のひとつでもあります。冷戦も終わり、そんな時代はもはや過去のモノとなったはずなのに。いや、それこそがリベラルな人たちの現代世界観の基礎にあるとすら言える。ところが日本の現状の危機をそのまま容認してしまうということは、必然的に自分たちの足元すら見直すことになってしまいかねない。
――もしかして私たちが当たり前だと思っている『平和』も、幻想に過ぎなかったのではないか、なんて。


日本そのものが心配というよりは、その平和という大前提の概念――あるいは幻想――を失いたくない為に集まる人たち。
よかった、日本はひとりじゃなかったんだ。味方が増えたことを喜べばいいのか、それとも最前線になってしまったことを悲しめばいいのか。


がんばれ平和を失いたくない人たち。