ソーラーパネルが化石燃料掘削コストより安くなる日

だが今日じゃなかった。



ドイツの「エネルギー転換」が大失敗だったと明らかに(川口 マーン 惠美) | 現代ビジネス | 講談社
うーん、まぁ、そうね。いつもの『ドイツの憂鬱』という感じ。同じく現在進行形で難民でも同じパターンだし、「良かれと思って突っ走ってみた」的なドイツという国家の宿業という身も蓋もありませんけど。

また、ドイツ国民にとってショックなのは、ハウカップ氏が、エネルギー転換が環境改善や温暖化防止に一切役立っていないと断言したことだ。これまでドイツ国民は、環境のためと思って高い電気代を我慢していたところがある。

ところが同記事によれば、ドイツでもEUでもCO2は減っていないどころか、2016年の排出量は09年より増えたのである。増加の原因は往々にして火力発電に押し付けられているが、ハウカップ氏によれば、それも間違いだ。再エネ電気の供給が安定しない限り、火力発電は止めることができない。

ドイツの「エネルギー転換」が大失敗だったと明らかに(川口 マーン 惠美) | 現代ビジネス | 講談社

特に目新しいお話でもないので概ね広く「知ってた」案件ではありますよね。ヨーロッパは国家を超えた広範な連携が取れるので比較的マシではありますが、それでも太陽や風力は安定していないので何かで補助輪を付けるしかない。火力がダメなら原子力を使えば解決だね。


ともあれ、このお話って簡単な構図ではあるでしょう。そもそも太陽光発電を筆頭に、元のコストが相対的に――絶対的には着実に安くなり続けているものの――高いからこそ本邦でもお馴染みの賦課金なんかで下駄をはかせなければならなくなっている。皮肉で面白いお話だと思うのは、昨今のエネルギー価格の下落がむしろこうしたドイツなんかの「エネルギー転換」の障害になっているように見える、という点かなぁと。
資源頼みのロシア経済の改革が失敗するのと同じ展開。
――今のやり方で十分(安い)なのだからわざわざ高価な新しい方法を試さなくてもいいじゃないか、なんて。
喜ぶべき価格下落のおかげで、しかし新技術の導入が遅れるパターンというとまぁよくある風景ではありますが。


ということはつまり、このまま化石燃料エネルギーがより安価であり続ければ転換の先行きは当面暗いままだが、逆に中東危機などで再びエネルギー供給に不安が高まると転換はワンチャン上手くいく可能性が高まる。


誰かの不幸が誰かの幸運というか、ゼロサムゲームというか。いっそまた世界(ヨーロッパ)が大混乱になればエネルギー転換もワンチャンあるかもしれないね。
……おっとそこにいるのは再び欧州の盟主に手が届きそうなドイツさん。