現代世界における『飢饉』発生パターンの典型例

ありふれすぎている悲劇。


じわじわと広がる飢えの危機 | ベネズエラで起きていること
そういえばベネズエラはどったんばったん大騒ぎだそうで。日本もそうでしたけど、世界で最も成功した社会主義国家の一つとして一部の人たちの希望の星でもあったベネズエラが分配による失敗でご覧の有様なのは皮肉で面白いお話ではありますよね。

先月半ば、ベネズエラの国会で国会議員カルロス・パパローニが公表した調査内容により、CLAPの販売には、ベネズエラ人実業家サマルク・ロペスベロの関与していることが明らかになりました。

ロペスベロとは、副大統領タレク・エルアイサミが、米、メキシコ、コロンビアなどに向けた麻薬密輸を首謀したとして米財務省から制裁を科された際、エルアイサミの窓口役として一緒に経済制裁を科された人物です。

CLAPで配られる食料はメキシコから送られて来るのですが、普通の市場の値段でメキシコで購入し普通に輸送すれば、1箱(15.5kg)12.44ドルの費用の物に対して、サマルクの会社では22.22ドルもの費用を計上しています。さらに、そこから様々な不明なコストが加わり、最終的に、この外貨不足の中、ベネズエラの納税者は1箱につき42ドル支払っているのです。ちなみに、サマルクはすでにこれを700万箱、政府に売っています。

このような状況を見るに、マドゥロ政府が現在の食料システムの統制をやめて適切で健全な経済活動を取り戻す可能性は皆無です。

じわじわと広がる飢えの危機 | ベネズエラで起きていること

以前も日記で現代世界において「飢饉」起きる要因について書いたことがありましたけど、まぁその典型パターンではありますよね。抱えきれないほどの人口増加でも、致命的な不作でもなく、政府による分配の失敗によってこそ起きてしまう。それがただ単に無能なのか悪意なのか、という違いはありそうですけど。
食糧危機2.0 - maukitiの日記
この不公平な世界に生きて - maukitiの日記
古くはマルサス先生そして新しくはレスター・ブラウンさんなど、古の時代から言われ続けてきたような供給限界がやってきての『食料不足』による危機はまぁ結局常に技術革命の早さが勝ってきた。ところが一方で人為的とも呼べるような飢饉は、古くはアイルランドやインドそして新しくはダルフールジンバブエなど既に実例が存在している。その列にベネズエラが加わろうとしていると。
ベネズエラ当局、野党指導者2人の身柄拘束 家族が明かす 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
ベネズエラ検察、制憲議会の発足差し止めを請求 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
人類が避けようのない限界ではなく、ただひたすら人の手による無能さによる悲劇。いっそ人類滅亡レベルの手も足もでない構図の方がマシだったかかもしれないね。特別な悲劇ではなく、避けられたはずの解決可能ではあるはずの危機に何度も陥る私たち。政治による失敗のお話っていつだってそんなものだというと耳が痛いし、身も蓋もないお話ではありますけど。
にんげんだもの、しかたないよね。
――でもそんな「政治の失敗」って上記のような人類滅亡的悲観論にあまり挙げられないのは少し不思議だなってちょっと思います。終末核戦争がその類なのかなぁ。




がんばれベネズエラ