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日本版だと「よーく考えよー?」


英ケンブリッジ大出版局、中国の検閲対応を中止 - BBCニュース
中国さんちの国内向けの『検閲』がイギリスの有名出版社にも事実上適用されていたことがニュースになっていたそうで。

中国当局はCUPに対して、他の文献を出版する代償として、「チャイナ・クオータリー」の論文や書評300件以上を中国内から読めないようにするよう指示した。
CUPは18日の時点で、「中国内から『チャイナ・クオータリー』の特定記事をブロックするよう、中国の輸入当局から確かに指示があった」、「我々が出版するその他の研究・教育教材が、この市場の研究者や教育者に提供され続けるよう、特定記事を外してほしいと言う当初の要求に応じた」と説明していた。
プリングル博士はBBCに対して、CUPが一度は対象記事を取り下げようとしたのは、「学術研究の自由と中国市場の魅力という矛盾するものにまつわる、深く潜在的な問題」を露呈したと指摘した。

英ケンブリッジ大出版局、中国の検閲対応を中止 - BBCニュース

天安門ネタが排除ですって。とりあえず中国bot避けには「天安門天安門!」と書き込むことが半ば定番ネタと化している私たちからすると、まぁ「知ってた」案件ではありますよね。もちろん国内的には彼らの『検閲』は今に始まったことではないんですが、それがこうして外に出てこないとでも本当に思っていたのかな?




ともあれ本題とは少しズレますけども、個人的にここで面白い問題提起となりそうと思っているのが、ただイギリスが、というだけでなく「EUから脱退しようとしている」イギリスが、こんな失態を犯してしまったという見方も出来てしまう構図かなぁ。
実際、EU脱退議論においては以前から、脱退によって発言力が低下し大国からの経済的・政治的圧力に屈してしまうようになるのではないか、という事態は結構懸案ネタとして言われてきたんですよね。それこそEUという巨大経済圏加盟のメリットが大きな市場を持つことによる発言力の強化という面がずっと言われ続けてきたように、その反面にあるのは大が小をいいようにするパワーポリティクスな現実でもある。
脱退を決めたばかりのイギリス企業が中国市場へのアクセスを盾にした脅迫をされ、少なくとも公に問題になるまでは「屈していた」というニュースは多かれ少なかれ今後の脱退議論にも影響を与えていくのかなぁと。もちろんじゃあEUが今回のような中国からの圧力を簡単に無視できるのかというと全くそんなことはなくて、それこそ逆に、圧力をはね返したい国と市場を求める国との間で意見集約にすごい苦労する、というオチもあったりするんですけど。


そもそもそれを言ったらアメリカのgoogleappleやyahooやmicrosoftすらも脅しに屈し、検閲を半ば黙認してきたのでより小さなイギリス出版社を責めるのもアレだよね。中国がモノを言う大国になるというのは、現在進行形のアメリカの横暴と同様に、どれだけ言い繕おうとそういう事なのだから。
僕はそれでも、アメリカの横暴の方がずっとマシだと思っていますけど。



まぁ仕方ないよね。営利企業においては、よく考えるまでもなく、誇りより大事なのはお金だもん!
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