セカイをまわせ! 〜キム王朝のカーニバル〜

問題はまわした後どこで止まるか、なんだよねぇ。


国連安保理、北朝鮮への制裁決議を全会一致で採択 - BBCニュース
国連安保理 新たな北朝鮮制裁決議を全会一致で採択 | NHKニュース
北朝鮮さんへの制裁が決まったそうで。どうせグダグダなのが出てくると思いましたけど、「そこそこ強力」且つ「更に先がある」という意味でかなりマトモなものに仕上がっていてびっくりです。いつもの強い言葉による脅しだけでなく、宥め賺しに妥協を上手く使っていて、トランプさんやれば出来るんだなぁと感心しましたよ。

一方で、決議は貿易の分野で制裁を広げていて、北朝鮮への天然ガス液の輸出や北朝鮮からの繊維製品の輸入を禁止しています。また各国に対して、北朝鮮が外貨を獲得する手段にしているとされている出稼ぎ労働者に新規に就労許可を与えることを禁じたり、制裁対象の物資を運搬している疑いのある貨物船を公海上で検査することなども求めています。

国連安保理 新たな北朝鮮制裁決議を全会一致で採択 | NHKニュー

ともあれ、しかしこれで解決するなんてことほとんど誰も思っていなくて、重要なのはこの後、どういう形で膠着するかという点ですよね。決着でなく膠着。当事者たちの利害がかみ合ってきたからこそ、現状の北朝鮮の問題は温存され続けてきたし、これがそのまま続いていくなら誰もが満足するはずだったんですよ。ところが、その「現状」に不満なプレイヤー(キムさん)が存在していて、なおかつ彼らはその現状を打破するだけの確固たる意志と実現できるだけの能力を持っていた。
そして残る全員が不満な現状が生まれることになる。


この辺は、今も副次的に炎上して問題となっている、中国やロシアが防衛的兵器であるはずのアメリカの『THAAD』なんかを嫌うのと構図は同じなんですよね。あるいは『核なき世界』を目指す人たちと。つまるところ、それは従来の均衡状態を破壊するという意味においては、北の核(ミサイル)開発が引き起こしていることと何も変わらない。本来バランスされ均衡していたはずの天秤を一方的に動かす行為。現在ある安定性の否定。まぁもちろんそれは誰かが勝手に考えている「今は安定している」という思いでしかないわけであり、100%満足の全会一致では絶対になく濃淡ある満足でしかない。故にそれに不満がある人たちは果断に行動に出ることで、新たな安定状態を作ろうとする。
言ってしまえば国際関係の歴史ってこういう均衡状態の破壊と安定化の繰り返しなんですよね。
そしてその安定化に掛かる時間は、プレイヤーたちの利害の調整がどれだけ上手く調整されるかによって決まることになる。


北朝鮮、ミサイル発射 北海道上空通過 グアム到達可能か - BBCニュース
今朝もまたミサイルをぶっぱして日本をどったんばったん大騒ぎさせたわけですけども、やはりそれも前回と比べると大分抑制された反応でもあるわけで。悲しいかな私たちは「慣れる」生き物でもある。いつかこの実験発射ラッシュにも慣れてしまうのでしょう。そして再び均衡と安定した東アジアへ。
ネバーエンディングストーリーな現実に生きている私たちは、ノリノリな北朝鮮のこのカーニバルが終わった「後」を考えなくてはいけない。一体この後どのような形で安定するのか? 当事者たち――悲しいかな日本にはその能力がない故に発言権はあまりないけれど――中国とロシアとアメリカはどのような形で再び膠着し安定することを望んでいるのか?


北の核保有国容認か?
北朝鮮によるミサイル実験と核実験が恒常化された世界=第三次核拡散の波か?
キム政権の打倒か?
あるいは制裁発動による沈静化か?


誰もが完全に満足する解答などありえない。ありうるとすれば、誰もが我慢できる程度には不満がありながらもながらそれでも満足の方がまだ大きい、程度の解答でしょう。まぁそれもいつか壊れてしまう束の間の安定でしかないんですけど。それでも安定と均衡が無いよりずっとマシではあります。
しかしそんな混沌ではなく秩序、均衡と安定化を目指す平和的行為こそ、『核なき世界』が越えねばならない最大のハードルでもあるんですけど。


セカイをまわそうとする現状打破な人たちと、セカイを今のままにしておこうとする現状維持な人たちによる国際関係の戦いに終わりはなく、果てしなく続いていく。
みなさんはいかがお考えでしょうか?