非対称戦争が生んだ世界

それを売るなんてとんでも――なくなかった。


フランス、厳格な反テロ法案可決 非常事態宣言の解除控え - BBCニュース
仏下院、新テロ対策法案を可決 非常事態宣言を一部恒久化 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
フランスで新しく強力な対テロ法ができたそうで。といってもこれまでも漸進的に進んできたお話でもあるし、それこそ数年前からフランス版愛国者法はあちらでずっと念頭に置かれ議論されてきたモノでもあるので、早いか遅いかでしかない時間の問題でもあったのでしょう。

新しい法律の下、個人の移動を在住地域に限定し、一日に一度警察に出頭することを義務付けるのを、判事ではなく政府が判断できるようになる。
当局は鉄道の駅や空港など危険と判断される場所に警戒区域を設定することができ、区域内では人や車両を調べることができる。
モスクなどの礼拝の場所で宗教的指導者が極端なイデオロギーを説いていることが分かれば、当局は閉鎖を命じることが可能になる。

フランス、厳格な反テロ法案可決 非常事態宣言の解除控え - BBCニュース

 同法により当局には、判事の事前承認を受けることなく、イスラム過激派の同調者と疑われる者らの移動を居住地のみに制限する、テロを黙認しているとされる礼拝所を閉鎖する、即時身元確認の実施件数を増やすといった権限が付与される。

仏下院、新テロ対策法案を可決 非常事態宣言を一部恒久化 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

わーすごい。
本邦でも某『共謀罪』でどったんばったん大騒ぎでしたけど、そんな事で争っていた私たちが小さく見えるスケールのお話ですよね。でもまぁ仕方ないよね。だってテロが怖いんだもん。死ぬくらいなら自由を売り渡した方がマシだ――というのはまぁ絶対にフランスに限った話ではなく、それこそ『9・11』後のアメリカでも、おそらく世界で最もテロに一家言ある伝統と格式あるイギリスでも同様だったからこそあの監視カメラ社会が生まれたわけだし。そして他のヨーロッパ各国も着実に後を追っている。


本邦の騒動でもテンプレとばかりに言われていましたけど、こうした「市民と国家の安全」を大義名分にした法の極致には、悪名高きあの『全権委任法』や『治安維持法』などがあるのは事実ではあるでしょう。
しかし、それでも、あの最悪な歴史的経緯を知っていても尚、私たちは「自由より安全」を優先する。身も蓋もなく自身の生命や財産の安全を優先する、という生物としては当たり前な普遍的傾向なのかもしれない。実際に上記ニュースでの数字が示しているように、安全の為に自由を売り渡す人たちを責めるなんてこと傲慢なこと、まぁ一部の愉快な人たちはポジショントークとして批判するかもしれないけれど、大多数は理想のために死ぬなんてことできないから仕方ないよね。


戦時には平時とは違う価値基準が適用される。悲しいかなそれは真実ではあるのでしょう。
ヨーロッパやアメリカの現状は、非対称戦争によって正しく「市民が標的」にされるようになった世界の果てを私たちは今目にしている。ということは、やはり、今という時代は「戦時」を生きていたと歴史に書かれることになるのか?
それとも「(過度に煽られた危機感から)安全の為に自由を売り払った狂気の時代」として書かれることになるのか?


みなさんはいかがお考えでしょうか?