チーターたちは正直者が報われる夢を見るか?

「全員が違反行為なんてしなくなりますように!」



【悲報】PUBGの大会で日本人プレーヤーがバレバレのチートを使って全世界に恥を晒す : ガハろぐNewsヽ(・ω・)/ズコー
オリンピックやらプロゲーマー認定やらで、なんだか本邦でも盛り上がりの機運(盛り上がるとは言ってない)な『e-Sports』のお話ではありますけども、

『C4 LAN』という大きなオフイベントにて開催されたPUBG大会の一幕
SilverCat9という日本人プレーヤーが“絶対に見えるはずのない壁越しの敵の頭を正確に狙う”というバレバレのチートを使ってしまう
この大会はTwitchで全世界に配信されてるため外国人に日本人のチートの活躍をお届けしてしまった模様


これに主催者ブチ切れ

【悲報】PUBGの大会で日本人プレーヤーがバレバレのチートを使って全世界に恥を晒す : ガハろぐNewsヽ(・ω・)/ズコー

うーん、まぁ、PCゲーム黎明期から続くチートなお話ではありますよね。僕は初代diabloが初体験でした。少し前にみんな大好きハヤカワSF文庫界でちょっと話題になった『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』でもそんなネタありましたが、本気でやればやるほど、ゲームとチートは切っても切り離せなくなっていく。


といってもそれがそのままゲームという文化・プレイヤーの低俗性の表出だというとそうでもなくて、それってほとんどそのままリアルな「スポーツ」と「お薬」の関係そのままでしょう。後者がまったく駆逐できていない――どころか現在進行形で燃えまくっている現状を見れば、前者の盛り上がりに付随する炎上案件についてもまぁお察しではあります。
IOC、ロシア選手団の平昌五輪参加認めず 潔白選手には参加の道 - BBCニュース
治療目的の「薬物」のドーピング効果 – アゴラ
実際にお薬の話題にはこと欠かないわけだしね。現状ではより手を出しやすいのがチートで、ちょっとハードルが高い(実際に自分の身体を差し出す)のがドーピングというだけ。今回のチートではあまりにもあからさまだった故に発覚したらしいものの、少し知恵が回れば、そしてe-SportsがSportsに近づき得られる名誉と報酬が大きくなればなるほど、よりそのチートが巧妙になっていくのは約束された未来でしかない。
まさにプロスポーツとお薬の関係そのままに。


まぁこの辺は、当日記では最早先史時代に近い太古の昔に書いた日記そのものなお話ではあります。
ならば「正直者が馬鹿を見ない社会」ってなに? - maukitiの日記
こうした正直者を救おうとする構図で面白いのは、むしろ根絶運動がほとんどそのまま隠れた嘘つきたちの利益に繋がるという点でしょう。正直者が多ければ多いほど、チートやドーピング利用者たちの得られるだろう利得は大きくなっていく。

何故一定のルールの下にある競争において、フライングやドーピングのような行為が利益を得られるのかといえば、それは当然他の人びとがそんな事をしないだろうという確信に近い予測があるからである。もし仮に10人での競争の際に、違反者が3人の場合と、違反者が唯1人の場合を考えればそれは明白である。結果得られる利益の期待値は確実に後者の方が大きい。また逆に10人の内誰もがそうしたルール違反を犯せば違反する事による利得など消え去ってしまう。

その意味で「正直者が馬鹿を見ない社会」に近づけば近づくほど、その中でも更に狡猾な(あるいは賢い)プレイヤーの得られる不当な利得は増大していく。勿論それに伴う露見するリスクも同時増大していくものの、しかしそれと同じ位得られるリターンも増大していく。やがてより一部に集中された利得は固定化されたヒエラルキーの形成に繋がっていく。

ならば「正直者が馬鹿を見ない社会」ってなに? - maukitiの日記

ここでも同様に、本気の善意から「ズルをする選手は居なくなれ!」と望む清廉なプレイヤーと、「(自分以外の)ズルをする選手はいなくなれ!」とチートやドーピングをしてでも勝ちたいプレイヤーは、結局同じ地平に辿り着く。


「(自分以外の)全員が違反行為なんてしなくなりますように!」


当日記ではe-Sportsを応援しています。