無抵抗主義者が戦争への道を舗装するとき

正常性バイアスの果て。


ウーマンラッシュアワーの村本大輔氏、テレ朝の「朝生」に出演 「侵略されたら降参する」 「沖縄はもともと中国から取ったんでしょ」(1/3ページ) - 産経ニュース
「今年の初炎上」狙いという形で敢えてやっているのかな?

村本氏は、尖閣諸島問題に議論が及んだ際、「非武装中立論」を説き、「(尖閣が)侵略されたらどうするの」との問いに「白旗をあげて降参する」と主張。「なぜ中国や北朝鮮が日本を侵略するのか、意味が分からない」などと述べた。 また「尖閣諸島は人を殺して国を守るなら、(尖閣を)取られてもいい」と答えた。龍谷大の李相哲教授が「沖縄をくださいと言ったら、あげるわけですか」と問いかけると「もともと(沖縄は)中国から取ったんでしょ」と答えた。

ウーマンラッシュアワーの村本大輔氏、テレ朝の「朝生」に出演 「侵略されたら降参する」 「沖縄はもともと中国から取ったんでしょ」(1/3ページ) - 産経ニュース

うーん、まぁ、そうねぇ。率直な感想としては、ひたすら何も考えずに喋っているだけなのだろうなぁという感想。
なぜ「殺すくらいなら殺された方がいい」のような理想主義的平和論はあんなに良いことを言っているのに蛇蝎の如く嫌われるの? - maukitiの日記
以前もこの辺の無抵抗平和主義な日記を書いていて、そこそこ良く書けたので概ねそれで終わってしまうお話ではあります。こうした人たちは自分が殺す側に回るかもしれない『痛み』は想像・思考実験はできても、しかしそれで被害に合うかもしれない人たちの『痛み』は無視してしまう愉快な人たちなのでしょう。根拠があるのかないのか、可能性としては前者の方がずっと高いと思っている。なので、ある種の正常性バイアスなんだと思ってます。



でもそうした思考実験自体は定番な興味あるネタではあるし、今年の初日記にしようと適当にググってみたら小林よしのり先生の記事が引っ掛かったわけですよ、
正月の朝ナマに出なくて良かった
……ほとんど同じ感想で草も生えない。

ガンジーの非暴力主義なら「個人的な哲学」としてあり得るが、あれは英国に植民地支配されている状況下の抵抗運動であり、今の日本国が侵略されない保証などないのに、非暴力主義で国民を地獄に道連れするわけにはいかない。
愛する人が敵兵に強姦され、惨殺される光景を見ても、戦わない人間なんかクズである!

正月の朝ナマに出なくて良かった

ともあれ――自分も使おうと思ってたガンジーネタを先に使われてて悔しい――それこそ正しく平和主義者であろうとするならば、「僕は取られても良いです。僕は明け渡します。僕はですよ」の後に「しかし暴力行為以外の、ありとあらゆる抵抗運動を行います」とか付け加えて言えば『浪速のガンジーや!』となれたかもしれないのにね。ただ無抵抗を言って現状を追認しただけでは、それこそ「戦争に反対」というポジションすら採れなくなってしまう。
だからこの人の今回の発言で反戦平和なポジションとして一番問題なのは「白旗をあげて降参する」でも「もともと(沖縄は)中国から取ったんでしょ」の歴史の真偽でもなくて、そうした領土保有の正当性を「戦争の要因」となりうる、と認めてしまっている所だと思うんですよね。一度そこに『侵略の大義・事由』を認め許してしまったら、あとはもう人類の歴史から見てもパンドラの箱を開くことになりかねない。
戦争に反対するということは、自分以外の他者がやる際にも反対しなければ意味がない。
だからこそ理性ある私たちはそれを国際法として違法として扱うようになったわけでしょう。それを許してしまって本当にいいの?
もうこの日記でも何度も使ってきたフレーズではありますが、それこそ世界全体が平和であることには興味がなく、ひたすら自国だけが自分だけが『平和』であればそれでいい、ならそれはそれで一つの考え方ではありますけども。
「国際主義より自国第一主義!」とか、トランプさんの支持者かな? 確かに現代社会の時流ではあるよね。





しかしまぁあまりこの人の漫才を見たことはありませんが、今回の件で所謂「無知の無知」から抜け出せて良かったんじゃないでしょうか。知らないこと自体が悪いのではなくて、知らないことすら知らない、そして知らないままでいることの方が悪いわけだから。これから学んでいけばいいんだしね。
村本大輔(ウーマンラッシュアワー) on Twitter: "おれが朝生で無知を怒られていたことに対しておれのツイッターをみて会いにきてくれて「僕も知らない、あの場で村本さんが聞いてくれて嬉しかったそれを伝えにきた」と言ってくれた。おい、バカ学者ども、お前達は街の人を知らない。みんな仕事がある。お前らは知で飯食ってるから知ってるだけ。… https://t.co/sTnov0cywF"
あ、だめそう。ザ・反知性主義という感じなので、これからはその路線でいくのかな?


ちなみに僕は歴史に学ぶ賢者でありたいと常々思っているので、人類世界における最古の国際関係の『歴史の知恵』であろうトゥキドゥス大先生のバランスオブパワー信者であります。(制限されているなら)軍拡競争って最高!


今年も世界が平和でありますように。