かつて私は「歴史が終わる」のを信じていた

リベラリズムという宗教の来し方行く末。


リベラリズムの終わり? : 地政学を英国で学んだ
大変おもしろいお話。

過去にこのような「リベラル・コンセンサス」を信じていた人々にとっては、現代は迷いの多い時代であることは間違いない。ただし確実に言えるのは、民主制度は単に生き残っているだけでなく、実に有効に作用しているということだ。
自惚れて形骸化したイデオロギーに対する大衆的な不満は、欧州全土に広まっただけでなく、アメリカでも(大きな欠点を持つ)指導者を見い出したのである。
リベラリズムの未来は、メッセージを大きくはっきりと伝え、残すに値する哲学的な伝統のすべての要素を守るための方策を探し出すことができる、有能な政治家たちの双肩にかかっている。
ところがリベラル聖職者たちの金切り声による執拗な高説は、そのような事態をまったく改善できていないのである。

リベラリズムの終わり? : 地政学を英国で学んだ

うーん、まぁ、そうねぇ。かつて「歴史が終わる」と無邪気に信じてもいた、不真面目教徒ならぬ文化的リベラルな僕としても概ね同意するお話かなぁ。なぜこうなったのかは、所謂『原理主義』な人たちが力を持つことで、穏健派が駆逐あるいは沈黙させられてしまったのが原因なんだと個人的には思っています。どっかの宗教みたいだね。特にアメリカは元々ピューリタンな来歴もあって、一気に盛り上がり振り過ぎてしまった感じ。
女優ドヌーブ氏など仏女性100人、男性が女性を誘うのは「犯罪ではない」 - BBCニュース
だから彼女は現状のアメリカについて、ものすごく的を射たことを言っていると思うんですよね。

9日付の仏紙ル・モンドに掲載された公開書簡でドヌーブ氏たちは、昨年から次々と表面化する性的スキャンダルによって、新たな「ピューリタニズム(清教徒的な過剰な潔癖主義)」の波が起きていると警告した。

女優ドヌーブ氏など仏女性100人、男性が女性を誘うのは「犯罪ではない」 - BBCニュース

もちろんそうしたより清廉な社会を目指す声自体はあってはいいんですよ。丘の上の町を作り世界の模範となろう! 
ただそれに国内的にブレーキがまったく掛からない様子こそ異様であるわけで。少なくとも主流メディアからはまったく無いものとして扱われてしまうようになってしまった。是非がどうあろうと反論が封殺される社会。多様性あるアメリカ(笑)
――であるからこそ、そんな沈黙させられていたことへのブレーキというかカウンターというかバックラッシュとして出てきたのがトランプ当選であったわけでしょう。


そうなると最も容易で有効な選択肢としては運動の穏健化でありますが、

リベラリズムの未来は、メッセージを大きくはっきりと伝え、残すに値する哲学的な伝統のすべての要素を守るための方策を探し出すことができる、有能な政治家たちの双肩にかかっている。
ところがリベラル聖職者たちの金切り声による執拗な高説は、そのような事態をまったく改善できていないのである。

リベラリズムの終わり? : 地政学を英国で学んだ

だめそう。この辺は単純に彼らの「聞く耳」の有無というだけでなく、むしろその教義にある種の『絶対性』を付与してしまった故に僅かな後退も許すことができなくなっている、という感じかなぁと。どっかの神学論争みたいだよね。


過激派・原理主義化そして多様性の欠如の果てにあったもの。考えてみれば当然ありうるオチではありましたけども、まさかこんな形で「歴史の終わり」の「終わり」が来るなんてこと思わなかったなぁと。

リベラリズムという宗教の来し方行く末について。
みなさんはいかがお考えでしょうか?