中国に手紙は来ない

トランプさんへの手紙の方がまだ多そう。


”強い”はずなのに魅力ゼロの中国とどう付き合うか | 文春オンライン
面白いお話。

 習近平政権が掲げる「中国の夢」や「中華民族の偉大なる復興」は、もしかしたら中国人だけは幸せにできる考えかもしれず、ゆえに庶民からも割と支持されている。しかし、他国の人間には共感できる要素が全然見つからないイデオロギーだ。なお、過去の「強い帝国」ではナチス・ドイツが現代中国と少し似た姿勢の国だったかと思うが、日本のアイドル(櫻坂46)に軍服のデザインをマネされるほど「外見だけはシュッとしていた」ナチスと違って、中華人民共和国は見た目もダサい。やはり魅力が根本的に欠けている。

 しかも現代の中国は「強い」はずなのに不安定で、持続可能性にも難がある。日本やアメリカなら仮に総理大臣や大統領が暗殺されても国家体制は動揺しないが、中国は習近平が失脚したり暗殺されるだけで、国や社会の安定がいきなり損なわれかねない。一見すると強そうなのに内部で無理をしすぎている帝国が意外とあっさり滅びる事例は、秦帝国しかり隋帝国しかり、過去にいくらでもある話だ。

”強い”はずなのに魅力ゼロの中国とどう付き合うか | 文春オンライン

中国の軍事力や経済力ではない、ソフトパワー不足というのは昨今の国際関係論における定番議論の一つにもなっていて、結局それを解決できていないままだというのはまぁその通りなのでしょうね。もちろん文明誕生以後の世界史において中国はこれ以上ないほど重要で先進的な文明であり続けたものの、悲しいことにイラン(ペルシャ)のそれと同じくらいには過去と断絶してしまっているし。悪者から自分たちを守ってくれるならいざ知らず、そもそも自国民すら殺したり弾圧している国がそれだけで満足しているだろうか?


現在形成される『国際社会』と同様の、自発的な好意から(ここ重要)中国と仲良くしたい国が一体どれだけあるだろうか?


北朝鮮がそうであるように、同じく中国依存のかなり強かった――ぶっちゃけ属国ポジションに近かったミャンマーもスーチーな民主化でかなり欧米側と秤にかけるようになったし、唯一といっていい海外の恒久基地があるパキスタン対テロ戦争では紆余曲折ありながらもアメリカとかなり深い協力を継続している。
――だから現状の大国としての中国の価値って、かつてのソ連なんかにあった『非西側』という点に尽きてしまうんですよね。私たち日本にもそういう人少なくないしね。
ここで愉快なジレンマなのは、周辺国に厳しく当たればすれば強制された力による平和状態を構築できるもののそれってつまり国内的な従順さと同様でしかなく、一方で中国が優しければ優しいほどむしろ(既にそうなっているように)欧米側と中国を競わせ美味しいとこどりをしようとするプレイヤーは多くなる。


ということでやはり中国のソフトパワーが絶対的な意味で卓越することは考えにくい。しかし「相対的」な意味では欧米に並ぶことはありうると思うんですよね。欧米の自滅によって。トランプさんの単独主義・排外主義で戦々恐々とする欧米世界ってつまりそういうことでしょう。トルーマンドクトリンやマーシャルプランといった欧米世界が戦後築いた国際法や国際機構がこのまま弱体化していけば、それは別の何かの選択肢への誘惑でもあるわけだから。


結局アメリカ次第なのかというとやっぱりまぁその通りなのでしょうね。そしてその趨勢が中国的ソフトパワーの相対的魅力を決めることになるんじゃないかと。過去の歴史が教えてくれるように、それをミスると戦争がやってきたりするんですけど。


みなさんはいかがお考えでしょうか?