二重の意味で空気が読めないオジサンたち

KYなのって、だれだ?



「日本、職場でセクハラ横行」 米人権報告書が指摘:朝日新聞デジタル
ということで猫も杓子もセクハラ問題で揺れる美しい我が国であります。

国務省は20日、約200カ国・地域を対象にした2017年の「人権報告書」を公表した。日本について「職場でセクハラが依然として横行している」と指摘。また政府の汚職や透明性の項目で、安倍政権の森友学園加計学園をめぐる問題に初めて言及した。

 報告書は、日本政府の調査を引用し、16年に働く女性の3割がセクハラ被害を訴えていることを指摘。女性の平均月収が男性の73%にとどまっており、「日本の女性が職場での不平等な扱いに懸念を示している」と説明した。

「日本、職場でセクハラ横行」 米人権報告書が指摘:朝日新聞デジタル

うーん、まぁ、そうね。アメリカさんちが自分のことをさて置くのはいつものこととして、彼女の場合はお仕事の関係上かなり特殊ケースだと思うので一概に言うのはアレではありますが、でも現実にこうした古典的ともいえる直截なセクハラが尚も存在しているのは間違いないので、今回の件はそれを改めて広く再証明したというお話かなぁと。「議論になってくれてよかった」とか使い古された言い訳でもすればよかったんじゃないかな。


ただやっぱりその悪質さには濃淡があるわけで。安易に何かしらのラインを明文化するということはその範囲外はセーフと言うことを間接的に認めてしまいかねないし、既に少なくない女性たち自身が認めているようにその判断基準も属人による変動が大きく、そしてまた現在進行形で進んでいるようにその基準は変動し続けている以上不文律としても決めるわけにもいかない。
ということは、私たちはやはり相手と場の空気感を読むしかない。


今回の福田さんのひたすらキモい振る舞いをして「時代遅れだ」という指摘は正しくて、彼らの脳内ではセーフだと思ってるんですよね。未だに。過去の記憶に魂を縛られたオールドなオジサンたち。
知識や認識をアップデート出来ない無能なのが悪いのだ、と言うのはまぁそこそこ正論ではありますが、でも激変する現代社会についていくのは大変で。それこそセクハラほど害はないものの、古い価値観を振り回す老人たちなんて幾らでもいるわけでしょう。お礼を三行以上書かないなんてけしからんな。



だからセクハラをする人たちって二重の意味で空気が読めていない。相手との空気感が読めないだけでなく、時代の空気も同様に。片方が読めていれば、もう片方も読めるだろうというのは当然の帰結ではありますが。
まぁ読む必要がないだけの権力者だからという面もあるでしょう。しかしセクハラを禁忌たらんとする現代は、だからこそパワーある権力者たちほどそれが許されない社会になっているのにね。個人的には差別問題と同様「先を行く」欧米世界がそうなっているのは、むしろ彼らの方がよっぽど悪どい行為が横行しているからこそそうなっているのであって、単に日本の進捗が遅れている――それ自体はその通りでもある――事だけを責めるのはフェアではないかなぁと少し思います。


ということでこのセクハラ議論を進めても、いつもの「空気を読め」オチ以外にはほとんどないと個人的には思うんですよね。
しかしそれこそが難しい。何しろその共有されているだろう空気というのは、いつでも一歩間違えば自分の勘違いした幻想でしかないのだから。まさに今回の福田さんのように。某ガンパレの如く「気まずい雰囲気」とか「Hな雰囲気」とか視界の隅っこに表示してくれればいいのにね。
そんな優しい仕様のない現代社会に生きる私たちにとって、最も重要な能力の一つとは「空気を読む」ことである。そうしなければ待っているのは社会的死である。やっぱりこの辺は欧米の方が先を行っているよね。
サンゴを破壊する方もしない方も、KY死すべし。



フランス、「握手拒否」したムスリム女性の帰化認めず 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
ちなみにこの「空気が読めないやつはギルティ」という規範を新しくやってきたニューカマーたちにも平等に適用するとなると、「(現地社会の文化に馴染まない=空気を読めない)移民難民は出ていけ!」というヘイトに繋が……おおっと、これ以上はいけない。なにしろボクは空気が読めるので。


かくして空気を読んで沈黙した人たちがトランプのような人に投票する。
過去散々日本の内々で暗黙の裡に「空気を読む」社会が批判されてきてもいたように、空気を読めと言うことは、つまり相手へ沈黙を強いることでもあるのだから。沈黙を強いられた人たちは、当然不満を抱くのだから。


空気を読むことを求める、ことの難しさ。それでも私たちは空気嫁とさけぶ。
みなさんはいかがお考えでしょうか?