「妥協的な合意でも何もしないよりはマシだ」というオバマさんと、「愚かな合意をするくらいなら何もしない方がマシだ」というトランプさん

あるいは外交政策を決めている側近の誰か。



トランプ米大統領、米朝首脳会談の中止を通告 金委員長に書簡で - BBCニュース
米朝首脳会談 6月12日開催せず トランプ大統領が書簡 | NHKニュース
さすがにこれは日記ネタにするしかない怒涛の展開。

ドナルド・トランプ米大統領は24日、北朝鮮の最高指導者、金正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長にあてた書簡で、6月12日に予定していた米朝首脳会談を中止すると通告した。北朝鮮の最新発言の「強烈な怒りとあからさまな敵対心」を理由にしている。大統領は、世界が「永続的な平和の素晴らしい機会を失った」と書いた。

トランプ米大統領、米朝首脳会談の中止を通告 金委員長に書簡で - BBCニュース

ザ・ちゃぶ台返し。これまで基本的には相手を手玉に取っていたはずの北朝鮮が見事にやり返されていて、私たちとしては喜べばいいやら悲しめばいいやら。さすが『狂人』っぷりでは一日の長であります。


こうしたトランプさんのポジションが通じる背景にあるのは「別に平和が作れなかろうがオレにはどうでもいい」であって、ある意味での「持たぬ者」の強さでもある。実際に本気で戦争の覚悟があるかはともかくとして、しかし私たちも含め「(彼ならば)可能性はありそう」と思わせるだけで十分なんですよね。その意味ではトランプさんがこれまでにやってきたメディア戦略の一つの成果でもある。まさに先の読めない理解不能な『狂人』として彼を扱ってきたわけだし。
反対に、この主導権の握り方は、理性的である故に足下を見られるオバマさんでは決してできなかった対応ではあるでしょう。



トランプ大統領、イラン核合意からの離脱を発表 欧州説得実らず - BBCニュース
結局、イランとの合意破棄でも見せた態度のようにトランプさん(および外交政策を決めている側近たち)にとって『愚かな合意』というのは『何も合意しない』方がマシだという思想があるんですよね。もちろん妥協的合意であろうと今後もコミットを続けられるという点で、オバマさんの選択も決してメリットがないわけではない。
しかし、それが核兵器開発の時間稼ぎに利用されたり、非人道的な独裁政権の存続につながる可能性がある、という指摘も間違っていない。実際あの極北たる『ミュンヘン』を持ち出すまでもなく、北朝鮮には1994年の「悪い合意の前例」があるのだから。



ちなみに、そうした思想や上記イランのようなアメリカの外交政策政権交代による変化は何も初めてではなく、クリントン政権から子ブッシュ政権に代わった時に対北朝鮮政策が大転換されたのとほとんど同じだというのはやっぱり面白い構図でしょう。
クリントン政権時代の北朝鮮との枠組み合意は不完全であり、核兵器計画破棄について「完全な検証」が無ければ北朝鮮との合意を信じない、とした子ブッシュ政権。
今のイランの核合意に関するトランプ政権の態度変化とかなり似ている。だからこれってトランプさんだけの事例ではなく、アメリカ共和党政権の外交政策に通じるお話でもある。
不完全な合意を続けるくらいなら離脱した方がマシだ。上記の「悪い合意の前例」の顛末を考えるとアメリカの壮大なマッチポンプ感あったりしますが。これもいつものアメリ外交政策と言ってしまうと身も蓋もなく、でもそうした変節こそ政権交代のある民主主義国家の宿業でもあります。多かれ少なかれ国民がそれが望んだ面があることも決して否定できないのだし。




「ある程度妥協してでも合意をしておくことに意味がある」と「愚かな合意をするくらいなら何もしない方がマシだ」
融和と制裁。北風と太陽。外交政策について永遠のテーマでもあるだろうこの二択について。一体どちらの方がマシなのでしょうね?


みなさんはいかがお考えでしょうか?