Narrativeで痛い目にあった経験に学ぶアメリカ

沖縄の「その○○○○で一人暮らしは無理でしょ」感。


社説[CIA沖縄解説書]「過酷な負担」直視せよ | 社説 | 沖縄タイムス+プラス
沖縄を理解するための「五つの物語」 CIAが示した、その内容とは | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス
面白いお話。

 CIAは2011年、「地域のアイデンティティー、経験、希望、懸念を反映する物語」を特定し、他国の世論操作に生かす手法を考案した。12年に発行した沖縄版の解説書では、まず「被害者意識がアイデンティティーの中心にある」と批評する。

 現在の事件や事故にも琉球処分沖縄戦が影響し、「より象徴的な意味を持つ」と分析。1995年の暴行事件は「沖縄では今も利用価値があるとみなされている」と批判的に紹介する。県民が米軍を「スケープゴート」にしているとも訴えるが、根拠は示していない。

 「被害者意識」と同様に県民が強く信じている物語として「差別」を挙げ、この二つが「米国のメッセージ発信と同盟の維持に最大の障害となる」との見解を示す。

 3番目の「平和を愛する人々」の物語は、

沖縄を理解するための「五つの物語」 CIAが示した、その内容とは | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス

思ったよりもきちんと(端的に)解説してて、結構マジなやつっぽいよねぇ。知識のない偉い人へのレクチャーとしては必要十分な感じ。逆説的にアメリカの傲岸不遜さというよりは、むしろ沖縄の「民意」を気にしていることがよく解るお話。それこそ議論の余地がないと確信しているならば、こうした資料なんて必要ないわけだし。
米軍、トルコ空軍基地の使用を大幅削減 - WSJ
最近もトルコの空軍基地の活動縮小があったりしましたけど、いくら世界最強のアメリカといえど、基地運用には相手国の積極的な支持が必要不可欠なので当然だよね。それを失った結果見事に追い出された、というか噴火もあって逆切れ気味に――加えて所謂『平和の配当』な空気と合わさって――出ていったのがあのフィリピンのスービック湾とクラーク基地の事例でもあったわけだし。


上記沖縄のニュースでも『五つの物語』に注目していますけども、実際その歴史と結びついたそんな『Narrative』が力を持ったのが1990年当時のフィリピンでもあったわけですよね。反米感情は、現地での植民地支配の歴史と米軍基地が結びついて「主権国家になる為には米軍撤退が必要である」というレベルにまで達していた。
アメリカは最早フィリピンの父親ではないのだ、なんて。
だからこそNarrativeは重要である。いやぁ自身の経験に学んでいるアメリカが言うと説得力があるよねぇ。
ちなみに、このフィリピンの米軍撤退による余波がそのまま日本への基地移転となったし、ついでにこうしたフィリピンでの経験が多かれ少なかれ現在沖縄でも生かされているだろうことを考えるとまぁ皮肉なお話ですよね。






しかしこうした「世論操作」「秘密介入」って、トランプさんやあるいは香港なんかでもそうですけど、民主主義政治界隈でもとってもタイムリーな話題で、結局沖縄もここに行き着くのかぁという感じはあります。前回の米大統領選挙では、干渉や自治なんかかなぐり捨てて選挙前から「反トランプ」を言っていた人たちヨーロッパにも本邦にもそれはもう一杯いたのに今更だよね。アメリカがやるというだけでなく、アメリカすらもその対象というカオスな現代世界。

 1965年11月の立法院選挙や68年11月に行われた初の主席公選では、保守系候補が有利になるよう裏工作が行われた。資金面を含めCIAの関与が疑われている。

 間接的であっても、沖縄の自治に介入したり干渉したりするようなことがあってはならない。

社説[CIA沖縄解説書]「過酷な負担」直視せよ | 社説 | 沖縄タイムス+プラス

それこそCIAのような莫大なリソースを持った巨大組織である必要もなく、ただSNSでも介入や干渉が可能となっているすばらしき現代社会。
もしここで沖縄での(当然ありうるだろう)CIAの世論介入があるとすれば、それはほとんどそのままロシアや中国の世論介入の可能性とイコールでもある。現状でそれを議論してしまうと、それはもう収拾のつかないことになるのは明白であります。いや、実際そうなっているのがトランプさんの現状の『ロシアゲート』でもあるんですけど。




もしそうした他国民主主義政治への介入が日本でもあるとしたら、やっぱり「また」沖縄が最前線となる可能性は高いんでしょうねぇ。更にはそれを装って世論を混乱させる可能性だってある。まぁでも立地が立地だから仕方ないよね。『平和の配当』を受け取れるはずが、再び争いの最前線に。悲しむべきか喜ぶべきか、魅力がありすぎる故に。沖縄の「その○○○○で一人暮らしは無理でしょ」感。


がんばれ沖縄。