回復されるか東アジアの平和

(沖縄は除く)


米軍部、核兵器の貯蔵権を要求 沖縄返還交渉中の公文書公開 | 共同通信 ニュース | 沖縄タイムス+プラス
そういえば沖縄の核持ち込み密約についてニュースがあったそうで。といってもまぁ以前から言われていたお話そのままで、そこまで新しい話かというとそうでもなく。まぁでも軽い日記ネタにはなるから少しだけ。

 沖縄返還では日本復帰後の沖縄への核再持ち込みを認める密約が結ばれたことが分かっているが、米軍統治下の沖縄で享受していた軍事的な権利に固執する米軍部の意向を反映していた経緯が改めて浮き彫りになった。沖縄は72年に返還された。

米軍部、核兵器の貯蔵権を要求 沖縄返還交渉中の公文書公開 | 共同通信 ニュース | 沖縄タイムス+プラス

まぁ冷戦時代を感じるお話だよね。軍部がそれを言うのは当然で、むしろ時代性を考えれば必死ですらある。この辺はカーター時代に在韓米軍撤退に強硬に反対した『韓国の』軍部と同じ構図かなぁ。「固執」と(もちろん正当ではある)悪意を強調している感じが見えますけども、しかしあちらだってそれが仕事だもんね。何よりも優先すべきは軍事均衡である。寒い時代だったものじゃ。
世界平和と違って、回復されなかった沖縄平和。
どちらにしても既に現代ではその世界平和(パクスアメリカーナ)も遠ざかりつつある。(北朝鮮の現下の核開発問題を見ながら)運搬能力が強化されたことを喜べばいいのか悲しめばいいのか、もう今更沖縄に直接持ち込む理由もほぼなくなってしまった。いやむしろそこに置いておかない方が安全ですらあるかもしれない。
台湾出身の戦没者慰霊祭 沖縄県糸満市で除幕式 石碑に揮毫した李登輝元総統が参列 - 産経ニュース
中国に台湾に南シナ海に、寒い時代が帰ってきつつある。力の均衡の要点としての役割ふたたび。いやぁ沖縄も悲しい立地だよね。



ともあれ、ここで面白いのは大統領ではなくあくまでその一高官でしかなかったキッシンジャーがその決定権を握っていたという構図でもあります。すべて外交政策についての決定権を握っていた最強の国家安全保障担当大統領補佐官
「大統領は外交政策についてはキッシンジャーとしか話をしない」
ニクソン時代の後半からフォード政権当初までは権力の絶頂期だったから仕方ないよね。沖縄の核持ち込みはノーベル平和賞たるキッシンジャーの舌先三寸だったのだ。といってもやっぱり新しいお話ではないよねぇ。そうした冷酷なリアリズム的合理性こそ、一方では蛇蝎の如く嫌われているキッシンジャー先生らしい伝説がまた増えたと言うことはできますけども。
リアリズムで世界を見よう : 地政学を英国で学んだ
でもやっぱりこうした上記沖縄密約に見られるような、キッシンジャー先生による冷酷で感情抜きにした身も蓋もない善悪を越えた合理性一辺倒なやり方への不満が、その後にアメリカからリアリズムが失われていくことの契機となったのは否定できないと思うんですよね。
彼があまりにも上手くやり過ぎてしまったために起きた帰結。
キッシンジャー先生の作品の中でも最高峰に位置するだろう『パリ協定』も、結局それがアメリカ国内世論として生み出したのは「アメリカは二度と敗北してはならない」「アメリカ的価値観こそ普遍的価値観である」「共産主義と妥協してはならない」という右派からの反発であったわけですよ。そしてそれはデタント批判に繋がり、やがてネオコン的な倫理的合意を重視する政治運動の強化へと繋がっていく。


果たしてトランプさんは、北朝鮮の核問題において、一体どちらのアプローチを目指すのでしょうね。
トランプ大統領長男とロシアの陰にキッシンジャー氏 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
ずっとその背後に居ると囁かれているキッシンジャーのようなリアリズム? 核放棄と在韓米軍撤退による軍事均衡として。
あるいはネオコン的なならず者国家誅罰のような倫理的合意を基礎にして?


みなさんはいかがお考えでしょうか?