自由貿易は守護らなければならぬ

でもだれが? どうやって?


クローズアップ2018:対米、報復関税の波 「貿易戦争」過熱 米中、全面対決へ - 毎日新聞
「引き下がるつもりはない」貿易をめぐり高まる緊張、それでもトランプ大統領が強気な理由 | BUSINESS INSIDER JAPAN
ということで貿易戦争が徐々に『熱戦』なレベルに到達しつつあるそうで。

トランプ大統領は、関税について「引き下がるつもりはない」と述べた。

「今、わたしが注力している大きな課題は、貿易だ。取り引きのあり方を正さなければならない」トランプ大統領はFOXニュースの番組「サンデーモーニングSunday Morning)」で、番組ホストのマリア・バーティロモ氏とのインタビューで語った。「……我々は世界最悪の貿易取引をしている。どの国に対しても赤字だ。……我々はこれを互恵的な、フェアなものにする」

トランプ大統領は続けた「君たちは知らないだろうが、全ての国が毎日電話をかけてきて、『取り引きしよう、取り引きしよう』と言ってくる。だから、全てうまくいくだろう」

そして、大統領は現在のアメリカ経済が「これまでで最も素晴らしい経済状態だろう」との主張を繰り返した。

「引き下がるつもりはない」貿易をめぐり高まる緊張、それでもトランプ大統領が強気な理由 | BUSINESS INSIDER JAPAN

無論トランプさんが元々公言していたお話ではありますが、でもここまでやるとは正直思わなかった感。公約に誠実な政治家だという見方もできるかもしれない。(実際に効果があるかはともかくとして)グローバル化によって仕事を失った有権者たちへのアピールになるのは間違いないし。
――こうしたトランプさんの暴走行為に対して、もちろん反対派は「他の方法で救うべきだ」とは言うでしょう。しかしオバマ政権までは口だけで事実見捨てられていたのか効果が無かったのか、どちらにしても実際には「救われていない」と感じていたからこそ、ああして運命的なトランプ旋風が起きてしまったわけだし。
偉大なアメリカを再び!


ここで面白いのは、第二次大戦後から熱心に『自由貿易』を守ってきたはずのアメリカがこうしポジションに立つ点であります。そしてその後釜に立とうとする国がほとんど居ないことも。反トランプでかっこいいことを言うヨーロッパは足下で関税同盟たるEUを作っているし、世界第二位たる中国さんも口でこそ自由貿易守護を言っていますけども実際の行動はうんまぁそうねぇトランプさんをちょっと応援したくなっちゃうレベル。
WTOこそとりあえず健在ではあるものの、当のアメリカがその提訴を乱発している現状。


アメリカ以外に一体誰がこの流れを止め、自由貿易を守護るの?


悲しいかな、私たちはブラック企業あるあるの如く属人性の極致に陥り「もし彼が居なかったら」ということを真面目に想定してこなかった。いや、少しばかりは想定していてそれがあのすばらしきWTOではあったけれども、まぁ進捗は概ねだめだった。といってもこの「もしアメリカが降りたらどうするの?」問題って別に自由貿易に限った話ではないよね。むしろ世界の国際問題の大部分は同じ構図かもしれない。私たち日本も同様で、もし東アジアの安全保障から手を引いたらどうするの? 番犬様が居なくなることなんてとても想像できない。想像したくない。
――かくしてアメリカの正気に掛けて諸問題の矛盾を見て見ぬフリを続けていたところにトランプ爆誕である。アメリカがヤバいと世界がヤバい。
結局はアメリカ頼みな私たち。逆説的に偉大なアメリカを思い出させてくれるトランプ流なのかもしれない。


報復関税をちらつかせて脅すのはまだ第一段階。その次には自分たちの勢力圏にも同様の事をさせる所にまでいくと……。
私たちがかの時代の某エンジェルさんの平和への確信の無邪気さを振り返って冷笑するように、今見ている私たちの自由貿易と平和な世界という確信も幻想に過ぎないのか。トランプこそ真のトレンドであり、私たちがオーバートンの窓からしか物事を見れていないだけなのだろうか?


みなさんはいかがお考えでしょうか?