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現代ヨーロッパ版パスカルの賭け

移民難民問題に揺れるヨーロッパ統合への特効薬。


トランプ氏、NATO加盟国の防衛支出増を要求 ドイツを名指し批判 - BBCニュース
ということで良くも悪くも空気を読まないトランプさんがNATOにも物申しているそうで。もちろん今に始まった話ではなく、それこそ冷戦以降からずっと問題になっていたお話ではありますが、中国台頭によるアメリカの負担増加もあっていよいよそれが表面化してきたなぁという感じ。

トランプ氏がNATO加盟国に特に不満を抱いているのは、2024年までに全加盟国がNATOへの防衛費支出を対GDP比2%に引き上げると公約したにもかかわらず、順守したのは数カ国に過ぎない点だ。

加盟29カ国のうち、今年この目標を達成したのは米国と英国、ギリシャエストニアラトビアの5カ国だけだった。しかし、ポーランドやフランスなども目標に近づきつつある。

トランプ大統領ツイッターで、「米国が守ると期待されている多くのNATO加盟国は、約束の2%(これは低い)を達成していないどころか、何年も支払いが滞っている。米国に返済してくれるのか?」と批判した。

トランプ氏、NATO加盟国の防衛支出増を要求 ドイツを名指し批判 - BBCニュース

うん、まぁ、まだ2014年以来から期間が残っているとはいえ概ね正論だよね。中央政府のない無政府状態な国際関係においては究極的には「約束を守らなくても問題ない」という普遍的事実でもありますけども。『平和の配当』だけ受け取って自分たちでは軍事費を出さないなんてヨーロッパは図々しいなあ!(ブーメラン*1
基本的にはこの負担増は対ロシア目的ではあるんでしょうけど、ウクライナ・クリミアの実例があっても尚彼らにはその軍事費を増やす気がないように見える。(最早欧州平和は実現し永遠なのだと)楽観しているのか、それとも無い袖が振れないだけなのか。
――この辺も、実のところ政治財政同盟のない単一通貨ユーロに縛られて、思うように動けない理由もあってEU各国には同情すべき事情もあるんでしょうけど。


面白いのは、一方でロシアの影響力に対抗するための『EU』としての価値はより強まっているように見える、という点でしょう。
元々そうした役割=旧ソ連圏の避難所というのはEU大義名分の一つでもありましたけど、おそらく現在こそよりその役割が求められているようになっている。ロシアが強くなればなるほどEUの必要性は増す。同時にNATOが不安定化すればするほど、皮肉にもヨーロッパ結束の必要性が強まるという皮肉。
ということは現状を放置することにも一定の合理性が存在する。あるいはインセンティブと言ってもいいかもしれない。移民難民問題でEUの結束及び根幹たる移動の自由が崩れかけている現状では、まぁ解らなくはない作戦ではありますよね。ちょっと捨て身すぎる感はありますけども。しかしいつの時代も外敵を煽ることは社会の結束を固めるさえたやり方でもあるから。
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いやまぁ自分たちは平和にかまけて「万一の有事の備え」など放っておいて、いざピンチになったら海の向こうのアメリカに助けを求めるヨーロッパというのは、既に歴史上二度繰り返された悲劇ではあるので今更かもしれないね。


ロシアの更なる前進の可能性が幾らあろうとも(自分たちがやっても焼け石に水状態であるし)結局はアメリカが助けてくれるのだから、ここは一発逆転「無い」方に賭けて危機を放置したままヨーロッパの結束を高めることに利用した方がおトクかもしれない。何しろ一つのヨーロッパというのはそれに見合った、無限大の価値があるのだから。
現代ヨーロッパ版パスカルの賭け。


このまま三度目があれば喜劇かな? それでもゴッドブレスなアメリカの顔も三度目までならセーフかもしれないし。
はたしてヨーロッパの賭けは成功するのか。あるいはただただ三度目の悲劇へと突き進んでいるだけなのか。


みなさんはいかがお考えでしょうか?