名誉あるユニテラリズムの邁進

そろそろトランプ・ドクトリンかな?



トランプは間違っている、中国はメキシコではない これほど原始的な考えがまかり通る衝撃――マーティン・ウルフ(1/7) | JBpress(日本ビジネスプレス)
みんなだいすき(要出典)ウルフ先生のありがたいお話ですけども、あんまり同意できないお話でもあるかなあ。

同盟国との緊密な協力があれば、そうした取引も可能かもしれないが、米国が純粋な二国間主義に固執していたら勝つことはない。

 それどころか、自分自身や貿易、世界経済、そして国際関係にダメージを与えることになる。

トランプは間違っている、中国はメキシコではない これほど原始的な考えがまかり通る衝撃――マーティン・ウルフ(1/7) | JBpress(日本ビジネスプレス)

トランプ政権のやり方が「世界的に見て」アレだという意見には同意するしかありませんけども、かといって、それが「アメリカの歴史から見て」アレだというのはちょっと違いますよね。トランプさんのやり方はそれを殊更に強調しあけすけにやっているだけで、いつものアメリカ的振る舞いだとも言えるわけで。そもそもそうした単独行動こそアメリカでもある。。
――自国の道徳的優越を確信している人たち。正義は我らにあり。理想主義なアメリカ。
で、そうしたアメリカが何を生むかと言うと、現実的妥協の産物でもある『国際法』や『国際機関』への懐疑でもあるわけで。といってもここまでは世界でもユニークなわけではない。喜ぶべきか悲しむべきか、アメリカにはそれが実現できるというだけのスーパーパワーがあっただけ。


国際関係あるいは軍事ネタで、しばしば語られるアメリカの『ドクトリン』ってつまるところそういう背景があるわけですよ。
モンロー、ニクソン、カーター、レーガン、ブッシュ、彼らが用いた数々ドクトリンたち。私たち日本を含め世界の国のほとんど全てが国際法・機関・条約を一応は尊重するかそのフリをする一方で、そんなアメリカの外交政策声明が意味しているのは、単独であろうと、国際法がどうなっていようと、アメリカには行動する意思と準備があると宣言しているに等しい。それゆえのドクトリンでもある。
彼らにとってのドクトリンとは、私たちにとっての国際法と近い意味を持つ。


オバマさんのような政治的修辞に満ちたこれまでの米国大統領とは違って、トランプさんのあけすけな言動によってより強調されてはいるものの、しかしそこに何も違いはないんですよ。
そこにあるのは、彼らの自分たちの道徳的優越性の素朴な確信(これだけなら別に世界で珍しくない――というか私たち日本にもある憲法9条由来の平和信仰と同じですよね)と、そしてそれが実現できるだけのスーパーパワーの存在。
もちろん失敗も多いけれど、しかし、それこそが私たち日本も恩恵に与った『パクス・アメリカーナ』な繁栄を形作ったと言っても過言ではない。
今回はどうなるんでしょうね?




アメリカの伝統ある単独主義について。
伝統あるユニテラリズムの再生 - maukitiの日記
以前も日記ネタにしましたけども、やっぱりそれはアメリカの通常運営だよねえ。それがアメリカ覇権を産んだのとは反対に、いつか決定的な破綻を招くかもしれない。しかしそうはいってもそれを辞めてしまえばつまりそれはアメリカがアメリカではなくなることを意味している。簡単に変えられるなら誰も苦労しないよね。アメリカがアメリカ以外の何かになって生きていくのも、色々な意味で、むつかしい。


がんばれアメリカ。