希望は独裁

次のトランプはきっと、ブラジル人。




ブラジル大統領選、極右ボウソナロ氏が当選 「国の運命変えていく」 写真13枚 国際ニュース:AFPBB News
ブラジルで大統領選挙があったそうで。ブラジルのトランプですって。まーた世界に次のトランプが生まれてしまった。浪速のトランプが生まれる日も近いかもしれないね。既に出てるだろとか言わない。


ともあれ、まぁ構図としては概ね本家トランプさんの時と同じですよね。
「細かいことはいいから、既存の政治をぶっ壊せ!」
それこそブラジルと言えばBRICsと持ち上げられてきた一方で、まぁ汚職や非効率(良く言えばかなりの福祉国家政策)な国家運営によって、いつまでも「将来の大国」枠から抜けられなかったわけで。結局ブラジルのこの部分を根本的に解決できた大統領ってほぼ皆無だったんですよね。少し前まで私たち日本のような輸入国が苦しんでいた、中国の劇的成長によるコモディティーブームによって、資源大国であるブラジルに安定した経済成長を生み出した。だからこそルーラ元大統領時代はそれなりに評価を受けていた。ところがその中国発のブームが弾けたとき、ブラジルの「いつもの」経済が戻ってきてしまったわけですけど。
未来への投資よりも今の福祉へ。ブラジルの常態。いやあ私たちも耳が痛いね。
その間政権与党であった労働党が何をしていたかというと、ルーラさんにルセフさんに労働党の政治家たちは、ブラジルの顔とも言える政府系石油企業であったペトロブラスととーーーーっても仲良く(意味深)していただけ。
かくして経済成長の低迷が治安悪化を招く負のスパイラルへ陥ったブラジル。余裕がある人なら国外脱出すら視野に入るレベルの。
ブラジルのトランプ」 独裁賛美の極右候補が大統領に:朝日新聞デジタル
――となれば劇薬を使うしかないじゃない!
といっても、その大小を気にしなければこういう声はどこにでもあるんですよ。私たち日本にだってもちろんある。ただそれが極小であるか、「さすがにそこまでは……」と躊躇する声の方が大きいだけ。しかしその声が閾値を越えると最早無視できなくなり、更に放置を続ければやがて多数派にすら到達する。

 ボルソナーロ氏は1985年まで約20年続いた軍事独裁政権を「よい時代だった」などと称賛。選挙戦では秩序と治安の回復を強く訴えた。市民による銃携行を主張し、「犯罪者をたくさん射殺した警察官には賞を与えるべきだ」など過激な発言を繰り返した。

ブラジルのトランプ」 独裁賛美の極右候補が大統領に:朝日新聞デジタル

つまり、その声とは「独裁こそ希望」である。
独裁を積極的に支持しているのではなくて、苦肉な現状打破の方策としてそれを選んでいることを指摘しないままその判断を批判するのは、あんまりフェアではないよね。反ヒラリーの声で誕生したトランプ政権そのままに、反労働者党の声で誕生したボウソナロ政権。
彼らは扇動者ではなくて、むしろ機会主義者なんですよ。
What Brazil’s right turn means for Trump - The Washington Post
弱者の味方であるはずの左派が嫌われるのって悲しいよね。まさにその弱者から「主に」嫌われているのが愉快な構図でもあるんですけど。そしてこれが上記ブラジルだけでなく世界的な潮流であることはおそらく間違いない。歴史は終わらなかった。



さて置き。上記ブラジルやアメリカの政治騒乱を見ていると、もし、私たち日本にも同じ潮流が来るとするなら、やはり「既存の日本政治をぶっ壊す!」な人たちが更なるウケイカとしてやって来るのでしょうねえ。ん、いつかもう見たような……? なので小泉さんや旧民主党政権時代のことを考えると、日本は既にそうした反既存政治なカウンターである『トランプ旋風』って実はもう通り過ぎているのかなあと今更ながらに思ったりします。
確かにあのころは「非自民こそ希望」であった。
しかしそうした混沌の後にやってきたのが(良くも悪くも)既存政治=自民党政治まんまな第二次安倍政権であり、そしてその消極的支持でもあるわけで。この潮流に日本は先に進んでいるのか、それとも後ろを進んでいるのか。


がんばれ世界の左派たち。