「20世紀の平和主義」の終わり

さよならパクス・アメリカーナ



ようこそ軍拡競争の世界へ! - maukitiの日記
先日INF条約離脱による軍拡時代到来を日記ネタにしましたけども、
仏大統領、「真のEU軍」の必要性強調 米ロからの自衛訴え 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
「欧州軍」創設、メルケル独首相も同調 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News
ヨーロッパのための軍縮が壊れた以上、まぁ、そうなるよね。

 昨年大統領に就任して以来、欧州連合EU)の合同軍の必要性を訴えてきたマクロン大統領は、民放ラジオ「ヨーロッパ1(Europe 1)」に対し、「われわれは中国とロシア、さらには米国に対しても自衛しなければならない」と発言。

 ドナルド・トランプDonald Trump米大統領が、1987年に結ばれた中距離核戦力(INF)廃棄条約からの離脱を表明したことに触れたマクロン氏は、「1980年代に欧州を襲ったミサイル危機後に締結された重要な軍縮条約から、トランプ大統領の離脱発表を目にする時、主たる犠牲者は誰になるだろうか。それは欧州とその安全保障だ」と指摘した。

仏大統領、「真のEU軍」の必要性強調 米ロからの自衛訴え 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

 メルケル氏は演説の中で、欧州の将来のあり方について自身の見解を披露。欧州軍の構想については、北大西洋条約機構NATO)の下での欧州と米国の協力と両立できるとの認識を示しながらも「欧州を守るには欧州自体が強くなるしかない」と強調した。

「欧州軍」創設、メルケル独首相も同調 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News

現状EUの二巨頭である仏独のトップは、同じ言葉で「二重の意味で」アメリカ不在による危機を訴えている。
アメリカ軍が居なくなるということはヨーロッパの守護者の不在であるという直接的な一点と、そしてアメリカが真に信頼できる同盟でなくなるということは――直接的な軍事力対抗というよりは致命的な戦力格差から生まれる横暴に対しての発言力保持・意思表明としても――万一に備えておかなければならないという間接的な一点として。
概ね正論ではありますよね。本邦でも日米同盟破棄の「その後」について語られるお話でもある。
実際、先日日記ネタにしたようにヨーロッパの域内的平和としては彼らの平和構築の努力が実った結果としてそこでは確かに勢力均衡によらない恒久平和が実現していた。しかし一方で(主にロシアを見た)対外的平和としてはほとんどそのままアメリカの武力が担保していたわけで。であればこそ、彼らは徹底的な軍事費縮小という実戦が危ぶまれる程度には大きな『平和の配当』を享受してきた。
そのアメリカの覇権による平和が終わりの兆しが見えてきた以上、次にすべきことといえば……。


――といってもこれはヨーロッパに限らず、中東でも私たち日本が属する東アジアでも同様な構図ではあるでしょう。であればこそ、アメリカによる世界の一極構造は世界にパクスアメリカーナを実現し提供した。
ヨーロッパや、私たち日本が自称してきた「平和主義」ってつまるところそういう意味でもあったわけですよ。私たちはもう戦争をしない、でももし誰から攻められたら、常識的には考えられないけれど、もし、万が一、いざとなれば、アメリカが手を汚してくれるだろう、なんて。


……このままの現状が続くのであればこの平和はえいえんになるはずだった。歴史は終わるはずだった。ヨーロッパも、日本も、アメリカ軍のスーパーパワーがもたらした平和と安寧をむさぼることができるはずだった。


あの空気を読めない「T」がやってくるまでは。


アメリカの劇的な外交政策変更。でも単純に大統領の独断と偏見からというだけはなく、そこには(無論多数派ではないにしろ)民意が存在している。アメリカはもう『世界の警察』をするべきではない。敬意が払われないだけでなく、アメリカは同盟国から搾取されている!
こうした変化は、民主主義の宿命であると同時に、暴君であろうが賢君であろうが結局は寿命ある独裁政権の宿命でもあり、そしてそれはつまるところ私たち人間の限界でもある。私たちは痛みや苦しみを時間経過によって癒していくように、過去の教訓や決意をも忘れていく。そうした忘却と韻を踏んだ繰り返しこそ人類の歴史と言えるかもしれない。
でもしかたないよね。にんげんだもの


20世紀にあった平和主義の前提は終わりつつある。
21世紀の平和主義 - maukitiの日記
ヨーロッパでは既にその方向に進みつつあり、では私たち日本の21世紀の平和主義とは?
みなさんはいかがお考えでしょうか?