『ベネズエラの革命』という神話の終わり?

革命運動はやっぱり豹変しなかった。


なぜヴェネズエラはアメリカにとって大事なのか そして逆もまた - BBCニュース
ベネズエラ、反体制派と政府派が大規模デモ 新たに空軍少将がグアイド氏支持 写真15枚 国際ニュース:AFPBB News

【2月3日 AFP】南米ベネズエラの暫定大統領就任を宣言した野党指導者フアン・グアイド(Juan Guaido)国会議長(35)は2日、反体制派のデモに参加し、さらなる抗議デモを実施してニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領への退陣圧力を強めるよう大勢の支持者に呼び掛けた。

 反体制派のデモに先立ち、空軍のフランシスコ・ジャネス(Francisco Yanez)少将がマドゥロ氏から離反し、グアイド氏をベネズエラの真の指導者と認めると表明。これまでにグアイド氏支持を表明した軍幹部としては最も階級が高く、グアイド氏に追い風となった。これを受けて米国のジョン・ボルトン(John Bolton)大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はツイッターTwitter)で、「すべての軍人にジャネス少将に続く」よう呼び掛けた。

 米国は1月23日、グアイド氏をベネズエラの暫定大統領と承認。英国、フランス、ドイツ、スペインの欧州主要4か国も、マドゥロ氏が今月3日までに大統領選の実施を受け入れない限り、同様の措置を取ると表明している。

ベネズエラ、反体制派と政府派が大規模デモ 新たに空軍少将がグアイド氏支持 写真15枚 国際ニュース:AFPBB News

うーん、まぁ、そうねぇ。ようやくベネズエラ革命の化けの皮が剥がれる、というと個人的な嗜好が出過ぎかもしれませんけども、まぁ左派たちにとっての「ベネズエラの神話」が終わりつつあるのは、少なくとも今のリベラルな陣営にとっていいことなのではないかなあと個人的には思います。古き良き左翼なお年寄りたちの憧憬としては理解できますけども。
サンダースさんへの批判としてトランプさんが悪用していたように、反米や社会主義革命の歴史としてはギリギリ理解できるとしても、今時チャベス社会主義革命の称賛とかされても、一般の人たちドン引きでしょう。


実際、そうした『ベネズエラの革命神話』に影響されてきたのは、まぁ欧米左派を中心に世界中にいっぱいいたわけですよね。もちろん私たち日本にも。

 第二は、革命の進め方です。ベネズエラ革命は、一九九八年の大統領選挙の勝利から始まったのですが、十年のあいだに、大統領・国会・地方議会の選挙と各種の国民投票など十六回におよぶ全国投票を経験してきました。これは、革命に反対する強力な勢力との政治闘争であると同時に、革命が国民の支持をたえず確かめながら前進する過程でもありました。革命がこういう形態で進行するのは、世界の革命運動の歴史でもはじめてのことです。

チャベス大統領囲む懇談会/ベネズエラ革命について不破社研所長が発言

「反米・社会主義革命」の成功者としてチャベス大好きな人たち。チャベスさんの成功を文字通りのアイドルとして見てきた人たち。たとえば、ちょうど上記記事の出る数カ月前に大統領任期撤廃な憲法改正をしたベネズエラをも許容する日本共産党なんかは、民主主義を守ることについてとっても心が広いよね!*1
革命無罪かな?


2019年の現在の後知恵からすれば、今のベネズエラの混沌ってどう見てもマドゥロ政権がいきなり豹変(誤用)し始まった話ではなくて、上記2009年の任期撤廃だけでなくそれこそチャベスさんの1998年の民主的選挙による大統領選挙当選の直後から、革命と称して彼が行ってきた政治改革によって現状へと至る道は着々と舗装されてきたわけでしょう。
議会機能の無力化・最高裁判事の増員・選挙管理委員会の直轄化・議会の軍監視撤廃等々。そしてその後のベネズエラで進められた『革命』の神話化=歴史修正やメディア統制なども。
一度クーデターに失敗したチャベスが、その後改めて民主主義に則って全ての政治権力を一つに掌握するプロセスについて。
革命に賛同しない人たちは反革命分子であり、物理的に殲滅する以外にないのだから仕方ないよね。彼が参考にしたキューバがそうやったように。


まさに彼は現代社会において重要なテーマである「民主主義をどうやって殺すのか」について、20年近く前に既にお手本のように上手くやってみせていた。
しかしそうしたベネズエラ神話も革命成功の当事者であったチャベスが去ることで神通力をついに失いつつある、ように見える。


いやまぁ国内的な反発は陰謀として片づけて、この期に及んでもベネズエラ神話を諦めてない人たちはtwitterなんかを見るといっぱいいますけども。
主張/ベネズエラ危機/国民多数の意思による政治を
その点では、日本共産党はまだ誠実ではあるよね。しっかりとベネズエラ支持について無かったこと方針転換をしているようにみえるし。



もちろんこの状況をアメリカ帝国主義な介入とか、石油権益とか、中国ロシアも絡んだグレートゲームな見方もあるでしょうけど、やっぱりただただベネズエラ革命が国民の声と乖離したことの結果ではないかと思います。
「革命が国民の支持をたえず確かめながら前進する過程」はいつからか、政権を支持しない人は物理的に居ないことにされるという、世界中のどこでも見られる独裁者あるあるな政治弾圧へと堕してしまっただけ。
これも共産主義革命から続く、現実に政治権力を握った革命運動のいつもの末路というと身も蓋もありませんけど。


ベネズエラ革命について。
――かつて冷戦時代の初期にあった左派知識人たちが共産主義革命を称賛してきた歴史と同じ道をたどることになるのか。


みなさんはいかがお考えでしょうか?