それは経験に対する希望の勝利だった

いやまあ結局その希望は敗北してるんですけど。



トランプ氏「合意するのは不適切」と 米朝両首脳後の会見で - BBCニュース
【解説】2回目の米朝首脳会談はなぜ決裂したのか - BBCニュース
ということで二回目の米朝会談があったそうで。

米朝首脳会談2日目のこの日、トランプ大統領北朝鮮金正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長は予定を切り上げて、共に会場を離れた。

トランプ大統領はその後、昨年6月と同様に1人で記者会見を開き、朝鮮半島の非核化に向けた合意に至らなかった理由を明かした。

トランプ氏は、金委員長は「制裁の全面解除を求めてきたが、我々はそれはできなかった」と述べた。アメリカは北朝鮮に対し、今後も制裁を継続するという。

また、北朝鮮が一部の核施設の廃棄を提示してきたが、他の核施設についても非核化を進める必要があると強調した。

トランプ氏「合意するのは不適切」と 米朝両首脳後の会見で - BBCニュース

うーん、何も、成果はありませんでしたオチ。
そもそも「完全な非核化」って何? 米朝会談での進展は [今さら聞けない世界]:朝日新聞デジタル
そもそも非核化という目標自体が非現実的だったという身も蓋もないお話ではありましたけど。であればこそ、普段の私たち日本のような「あやまちはくりかしませんから」というどこまでいっても口だけ国とは違って、実際に行動してきたアメリカにとってすらも北朝鮮の核問題はここまで温存され続けてきたのだし。
あの『核なき世界』を演説したオバマさんにとってすら、今これだけのニュースになっている北朝鮮の核については、まったく相手にしていなかったわけだし。


でもまぁそもそも米朝会談が「ある」というだけで期待は膨らむ話ではあったよね。故にそこからトランプさん判断による譲歩・妥協・ディールによって、何と呼ぶかは好きにすればいいとして、このまま制裁緩和まで行くのではないかと囁かれていましたけども、蓋を開けてみればご覧の有様だったっていうふつーで平凡なオチ。
ここまで成果ナシだと、一体何で会談しようと思ったんだ感は拭えないかなあと。
――というと、当日にも流れていたトランプ政権のゴタゴタについてのニュースのように、トランプさん側の国内政治事情だろうというと同じくふつーで平凡なオチではあります。


以前にも日記にしたお話ではありますが、現代国家にとって外交政策というのは国内政治を反映させたモノが大多数なわけですよ。だって外国よりも国内政治の方が(民主主義体制の世論という意味ではもちろん、北朝鮮のような独裁体制でも権力維持という意味でも)ずっと重要なんだから。
大多数の私たち自身も政治家にそう期待しているように、まず第一は国内政治であって、どこまでいっても外交政策は二の次でしかない。


逆説的に、国内が変われば外交政策が変わるかもしれない、と新たな可能性に期待するのも間違ってないんですよね。
そしてアメリカには「あの」トランプ大統領が誕生し、北朝鮮でも見事に世襲が成功した。韓国の文在寅さんのように、これは千載一遇のチャンスかもしれないと多大に期待する人たちが出てくるのも無理はない構図でしょう。
北朝鮮の核問題に、これまでとは違う成果を。先人の知恵や経験とか知ったことではないのだ。


かくしてサミュエル・ジョンソン先生風に言うならば、「それは経験に対する希望の勝利である」としての米朝会談は誕生した。



しかし結果はご覧の有様だったのでした。おわり。


アメリカにしろ北朝鮮にしろ、外交政策を変えるほどには国内の「変化」が足りなかった。
国際関係として見るならば、今回の第二回米朝会談の結末としては結局そういうことなのかなあと思います。


アメリカの国内政治がもっと変わるべきなのか? 
北朝鮮の国内政治がもっと変わるべきなのか?
それはつまり(これまでの歴代米政権が出来なかったものがトランプ登場が期待されたように)アメリカ政治の更なる混沌化の期待であり、あるいは北朝鮮(国民)への経済制裁による更なる締め付けの期待でもあるんですけど。


でもしかたないよね。アメリカと北朝鮮が変わってくれない(変わる程度には国内政治的に追い詰められないと)と外交政策が変わらないのだから。
みなさんはいかがお考えでしょうか?