駆り立てるのは保身と危機感、画面に横たわるのは空の棚

ラショナリーな私たち。




トイレットペーパー“品薄はデマ” も不安に歯止めかからず | NHKニュース
トイレットペーパーやら消毒用アルコールなどの買い占めが騒動になっているそうで。

新型コロナウイルスの感染が広がる中、品不足になるという不安から買いだめの動きが出ているトイレットペーパーをめぐり、業界団体などが誤った情報だとして注意喚起を行って以降も、ツイッター上では品薄を訴える投稿が急増していて、人々の不安に歯止めがかかっていない状況がみてとれます。

トイレットペーパー“品薄はデマ” も不安に歯止めかからず | NHKニュース

先日の通常日記でも少し書きましたけど、まぁやっぱり「合理的」ではあるんですよね。
行動経済学ゲーム理論などで用いられる基本的概念である利得行列を考えてみれば明らかでしょう。
・自分だけが買わなくても、買い占めが起きるかどうかのトレンドに変化はない→買い得
・今買っても長期保存できるので無駄にはならない→買い得
つまり、個人の行動としては、周囲が冷静であろうが、一層の買い占めに走ろうが、一旦この『物資不足』というトレンドが表に出てしまうと、個人の利得としてはどちらも「買う」方が正解になる。
「自分さえ良ければそれでよかろうなのだ!」なんて。


ちなみにこのミクロな状況の対極にあるだろう「危機感による巨大市場全体への影響」というのが、個人の私たちも避けては通れないマクロな『石油市場』でもあるわけですよね。
それこそ全体量から見て僅か数パーセントでも不足というシグナルが出てしまうと、それは数パーセントでは済まないレベルの致命的な価格高騰となって表れる。
より重要な戦略物資である故に、デマであろうとなかろうと、その危機感は価格を跳ね上げる。
私たちが今目にしているトイレットペーパーを買いに走る個人と構図としてはほとんど一緒でしょう。
こうした構図をずっと受け入れてきているのに、今更個人のトイレットペーパーの買い占め騒動だけを批判するのはちょっとフェアではないよね。



ということでコレは何も社会における、それこそ石油ショックな時代から「何も成長していない」バカな人たちの割合云々というよりは、ただただ現状ある脅威に対しての危機感の大小でしかない。
実際、ある程度の大人であれば『3・11』で空になりまくった店内棚の記憶はまだしっかりあるだろうしねえ。
――ただ、それを解っていて、ニュースなどでそうした「空の棚」を何度も放送するメディアってほんとイエロージャーナリズムだなあって改めて思ってしまいますけど。
トイレットペーパー 誤情報でも購入 “予言の自己成就”現象? | NHKニュース
自己成就予言とか言ってますけども、その予言の広報までしているのはまさにNHKをはじめとしたマスメディアの方なのにね。
つまり、もし仮にここで『買い占めは悪である』という前提に立つ場合、少なくとも私たちの独善的な行動と同じくらいに罪深いのは、同時にその品薄という危機感をより煽っている人たちなんですよね。
何しろその危機感こそが私たちを駆り立てるのだから。


デマを拡散する人たち。
なんてわるいひとたちなんだ!


まぁこうした自分たちこそが諸悪の根源であるという自覚を持ち露悪的にイエロージャーナリズムをやっているのであれば止める筋合いもないとは思うんですけども、
もし、マジで、それを「ほーどーのしめい()」とかでやっているのであれば、まぁほんとう無能な働き者で、そびえ立つクソという評価不可避であります。
更には「うわさ」や「ツイッター上では」なんて自分たちを棚に上げたエクスキューズまでしながら、
デマの拡散の片棒を担いでいる人たち。
いやあ、「代表堂々退場す」「腰抜け東条」な戦前戦中からほんとこの国って進歩ないよね。


さて、マスコミの中の彼ら彼女ら報道する側の人たちの真意って一体どっちなんでしょうねえ。
やっぱり「報道の人たち何も考えてないと思うよ」オチの可能性が一番高そうとは個人的には思いますけど。


みなさんはいかがお考えでしょうか?