「コロナを抑制するために、市民の自由をより手放す必要がある」と考える模範的市民な私たち

あるいは、私たちはただアベの犬なのか。



マスクの買い占め ネット転売禁止へ 政府総合対策取りまとめへ | NHKニュース
入国禁止 韓国とイランの一部地域を追加 政府 | NHKニュース
ということで「一斉休校要請」に続いて、「マスク転売阻止」や「入国制限」まで日本政府の対応ステージは進んだそうで

新型コロナウイルスの感染拡大でマスクの品薄状態が続く中、転売目的でマスクを買い占め、インターネットを通じて高額で販売されるケースが相次ぎ、医療機関などのマスクが足りなくなっているといった指摘も出ています。

安倍総理大臣も4日、「一部の人たちが転売目的で大量に買っていることに、どのような手段で強制力をもって対応できるか、早急に検討している」と述べました。

そして政府は国民生活安定緊急措置法などに基づき、マスクの品薄状態を解消するための総合対策を取りまとめることになりました。

マスクの買い占め ネット転売禁止へ 政府総合対策取りまとめへ | NHKニュース

まぁ「遅い!」という批判はやっぱりあるにしても、つまりそれだってもっと専断的にさっさとやれ、という主張と紙一重でもあるわけで。
それこそ一斉休校の時に聞かれた批判の「いきなり言われても!」という批判の裏返しでしかないよね。


そして更にはリベラルな人たちにとどまらず嫌われている『緊急事態』の議論まで。
「最長2年の緊急事態宣言」可能に 法改正目指す(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース
実際これだって議論無しにやったら批判されるだろうし、かといって議論もしないまま状況が悪化したらそれはそれで文句を言われるのは間違いないし。




「きちんと事前に根回し」「しかし迅速に」
両方やらなくっちゃいけないのが政治家のツライところ。




どちらにしても、この辺は先日書いた日記ネタのようなトレンドが今でも続いている、もしくは強化されているという理解でいいのかなあと。
コクミンが安倍にもっと独裁しろと囁いている - maukitiの日記
私たちは素朴に、普段であれば反発も大きいだろう市民の自由の制限について、危機である今はもっと強権を発動してでもどうにかしろと願っている。
そして普段は「政権の暴走を止める!」と嘯く野党な人たちも、世論の前に沈黙して枝葉な議論に終始する。
上記でも書いたように、「民主主義がマジで死ぬ」パターンの典型的一つでありながら。


少なくとも私個人のポジションとしては今回の件では、まったく、日本社会で「民主主義が死ぬ」とは全然思いませんけども、しかしそれでもこうした状況の当事者になると未来のテストケースとして色々と考えてしまう構図ではあるよなあと。

安全保障への危機が起き、とりわけ自らの安全に恐れを抱いたとき、市民はいつも以上に独裁的な措置を受け入れ、ときにそれを支持すようになる。9・11後の世論調査では、アメリカ人の五五パーセントが「テロリズムを抑制するために市民の自由を手放す必要がある」と答えた(1997年の調査では二九パーセント)。*1

これ『民主主義の死に方』の典型例の一つとして挙げていたところだ! 
――と別の意味で感心してしまう日本社会の状況だよなあと感慨深くなってしまうところではあるんですよね。
未来のドクサイシャたちのこの世の春。
やっぱり日本がそうなるとはぜんぜん思いませんが、世界中の政治指導者の何人かはそんなこと考えているんじゃないかなあ。
まさに私たち市民の素朴な要請を利用して。




海外で巻き起こっている東アジア人差別なんかもそうですけども、
日本人女性をからかい暴行した疑い パレスチナ人逮捕 現地警察 | NHKニュース
サッカー観戦の日本人 スタジアム追い出される 独メディア | NHKニュース
普段はキレイ事な、差別反対や市民の自由がうんたらかんたらと言っている癖に、まぁ一皮剥くと私たちって人類みんな我が身が大事、ていう人類みな兄弟な共通点を見つけることができてちょっと嬉しくも生暖かい気持ちにはなります。


「コロナを抑制するために、市民の自由をより手放す必要がある」と考える模範的市民な私たち。


いやあ一体「誰にとって」模範的なんでしょうねえ。
みなさんはいかがお考えでしょうか?

*1:『民主主義の死に方』第4章。